集中の決定とは戦場の決定である。この決定なくしては、戦闘はあっても戦争にはならない。集中の目標は、基本中の基本というべき重大な意思決定である。資源は限られている。集中することなくして成果をあげることはない。
ピーター・ドラッカー

集中してこそ成果をあげられる

今日も「一時的な対処法」ではなく「普遍的な基本と原則」をお伝えします。ある大手企業でお仕事をさせて頂いた時の話です。その会社は経業績の回復を目指していました。新しい事業を起ち上げ、新しい市場をつくり上げようと取り組んでいましたが、あまりうまくいっていませんでした。そこで私は、社長とはじめ取締役の方々にじっくりヒアリングをしました。何が起こっているのかを理解する必要があったからです。

新しい挑戦に経営チームの誰もが恐れを感じていて、異常なほど慎重になっていました。その事業の成功を自分の責任として取り組んでいる人がませんでした。さすがにこれはお役に立てないと覚り、誠意を尽くしてその仕事から手を引きました。やがて競合他社が同じ事業を起ち上げ、成功をさらっていきました。十分な事業機会であったにも関わらず、その会社は成功を手にすることはできませんでした。同じ市場で同じ事業で成功を勝ち得た会社と成功を逃してしまった会社。その違いはどこにあるのでしょうか。

ドラッカー教授はこう言っています。「集中の決定とは戦場の決定である。この決定なくしては、戦闘はあっても戦争にはならない。集中の目標は、基本中の基本というべき重大な意思決定である。資源は限られている。集中することなくして成果をあげることはない」。集中とは、「主戦場を決める」ということです。前述した、成功を奪っていって会社は、成功を賭けてその事業を主戦場としていました。「今ここに一番力を注ぐのだ」と息を荒くして事業を進めていたのです。なんとなくやっている会社と成功を期してやっている会社の差は歴然です。成功を確実なものにするために、集中の決定を行ってくださいね。