知識労働者にとって必要なものは管理ではなく自立性である。
知的な能力をもって貢献しようとする者には、
大幅な裁量権を与えなければならない。
ピーター・ドラッカー
上司の指示はいらない
「部下が思い通りに動いてくれないので困っている…。」
「部下が計画を実行してくれないので腹が立っている…。」
「四の五の言わず、とにかく結果を出してほしい…。」
「部下のやる気を高めるいい方法はないだろうか…。」
「部下に自発的に仕事をほしいがそうはしてくれない…。」
部下をもった上司であれば一度は
そんな想いになったことがあることと思う。
ドラッカーは、来日した際、自身の経験を次のように語っている。
―ここからドラッカーの体験談―
私はロンドンの銀行で働いていた。どんな報告書を出しても、
上司は「ありがとう」と言ってくれた。
だから、いい仕事をしていると思っていた。
あるとき私は、何十ページもの大きな報告書を作った。
その報告書はかなりよくできたと思い、
それを提出したら上司はきっと褒めてくれるだろうと思った。
ところが、上司から「全然ダメだ、やり直せ」と叱られた。
そこで私は、「どこがいけないのですか」と聞いてみた。
すると上司は、「それは俺にはわからない、
それを考えるのがお前の仕事だ」と言っただけで、
「ここをこうしろ」とか、「ここを直せ」
といったことは何も言ってくれなかった。
もちろん腹は立った。しかし、その報告書は
「自分にとって満足のいくもの」であっても、
「上司にとって満足のいくもの」ではなかった。私はこの経験から、
「仕事は言われた通りにすればいいのではなく、
相手が満足いくものを考えて行なわなければならない」
ということを学んだ。
ーここまでがドラッカーの経験談ー
大昔、上司がやっている仕事と部下がやっている仕事は同じだった。
上司と部下の違いは、命令する側と命令される側の違いくらいに
過ぎない時代があった。上司は部下より多くの経験を積んでいた。
経験の浅い部下よりも上司の方が仕事ができて当然だった。
今日、時代の流れとともに、仕事は細分化され、専門化された。
上司は、部下の仕事の詳しい中身までわからなくなっている。
たとえば、ソフトウェアを開発する会社では、
上司は完成させるものはわかっていても、
部下が作るプログラムの中身まではわからない。
また、上司の仕事は「新しい商品を出すこと」であって、
「新しい商品を考える」のは部下の仕事
といったケースはよくあることだ。
このように、現在は、上司の仕事と部下の仕事は
まったく違うものになっている。
部下を命令で動かそうとする考えが、
現在も有効なのかどうか、あらためて考えてみたい。
かつて、日本に来たドラッカーは、
日本のリーダーに何を語ったのだろうか。
上司の仕事は、「部下を動かすこと」ではなく、
「部下の強みを生かすこと」に変わった。
上司がいちいち口出しをするような組織は発展しない。
上司の仕事は部下の仕事に首を突っ込むことではない。
アドバイスすることでもない。
会社が進む方向性を明確に打ち出し、
それさえ組織で共有できれば、上司の指示はいらない。
詳しくは、こちらでお読みになれます
日本に来たドラッカー 初来日編 山下淳一郎
この世にあって何がしかの責任を担う者であるならば、
ドラッカーとは、いま読むべきものである。
明日読むべきものである。
10年後、50年後、100年後にも読むべきものである。
部下を最大限に活かしたい社長様へ
基本と原則に反する者は例外なく破綻する。
ピーター・ドラッカー
今以上に事業を伸ばしていくためには基本と原則は不可欠です。
さらなる発展のために、ドラッカーを学びましょう。