![drucker-20180810.jpg](https://topmanagement.co.jp/column/upload/drucker-20180810.jpg)
組織の原則は、階層の数を少なくし指揮系統を
短くすることでなければならない。階層の増加は、
組織内の相互理解と協同歩調を困難にする。
目標を混乱させ、まちがった方向に注意を向けさせる。
ピーター・ドラッカー
事業は失速する
![経営チーム9002.jpg](https://topmanagement.co.jp/column/upload/%E7%B5%8C%E5%96%B6%E3%83%81%E3%83%BC%E3%83%A09002.jpg)
現在、コンサルティングさせて頂いている
企業様で社長の交代がありました。
先代の社長から後任の社長へ引き継がれました。
先代の社長は会長に、専務だった人が社長に就きました。
その企業の部長はあることに困っています。
それは、次のようなことです。
部長は、ある件について会長のところに
相談に行きました。偶然その場に
社長も居合わせたので、部長は会長と社長と
同時に話を伝えることができました。
話しが終わると会長が次のように言いました。
「社長はどう思うかね?」
すると社長は会長にこう言いました。
「会長、少し考えさせてください」
その後、部長には会長からも社長からも連絡はなく、
相談した件はうやむやになってしまいました。
また、ある時、部長は別件で社長に相談に行きました。
話しを聞き終わった社長は部長にこう言いました。
「会長に聞いてみないとなんとも言えない。」
後日会長と話しをしたうえで社長は
判断してくれると信じた部長はその場を去りました。
その後、部長に会長からも社長からも連絡はなく、
その件もまた、うやむやになってしまいました。
波風を立てないような調整が行なわれるだけで、
具体的な決定はなされないー。重要なことは先送りされ、
あるいは放置されたままとなる。これがこの会社の常であり、
まさに部長が困っているのがこのことです。
起こっていることを整理します。
- 部長は会長と社長のどちらの指示を受けていいのか分らない。
- 部長は会長と社長のどちらの決定に従うべきか混乱している。
- 部長は会長と社長の両方の立場を気を遣っている。
- 会長は社長が決めるものだと思っている。
- 社長は最終的に決めるのは会長だと思っている。
- 会長は社長が部長に指示するだろうと思っている。
- 社長は会長が部長に指示するものだと思っている。
いったい何が原因で、何をどうすれば
この状態から抜け出せるのでしょうか?
ドラッカーはこう言っています。
組織の原則は、階層の数を少なくし
指揮系統を短くすることでなければならない。
階層の増加は、組織内の相互理解と協同歩調を困難にする。
目標を混乱させ、まちがった方向に注意を向けさせる。
ピーター・ドラッカー
最終決定者は社長一人であったところに、
会長が誕生したことによって組織の階層が一つ増えています。
問題なのは「会長・社長という体制」ではなく、
「会長、社長が生むマネジメントの階層の増加」です。
原因は責任者の所在をあいまいにしていることです。
大事なことは、役職ではなく責任です。
責任の所在が曖昧であれば、
組織は議論をするだけの場となり、
決定する機能を失ってしまいます。
役割を分担するにせよ、どちらか一人が
明確な決定権を持っていなければ、
組織は停滞し、事業は失速します。
そうならないために、誰がどんな決定権を持つかを
はっきり決められることをお勧めします。
ドラッカーを学びたい社長様へ
基本と原則に反する者は例外なく破綻する。
ピーター・ドラッカー
今以上に事業を伸ばしていくためには基本と原則は不可欠です。
さらなる発展のために、ドラッカーを学びましょう。