不得手なものを並みの水準にするには、
得意なものを一流にするよりもはるかに多くのエネルギーと努力を必要とする。
あらゆるものが強みによって報酬を得る。
弱みによって、人は何かを成し遂げることはできない。
ピーター・ドラッカー『経営者の条件』
人の強みを会社の成果に変えること
コミュニケーションに長けている人。数字に強い人。文章を書くのがうまい人。話のうまい人。人の話を聞くのが得意な人。作戦を立てるのうまい人。物事の手順を決めるのがうまい人。新規開拓で力を発揮する人。ルートセールスで力を活かせる人。全体像を描くことが得意な人。細かな分析に優れている人。新しいものを考えることに秀でている人。物事をスムーズに運営できる人。このように、人が得意とするものは様々です。あなたは社員全員の強みを迷わず言えますか?。ここでいう強みとはその人が得意とするものです。以前の私の上司は社員の強みを全部言えました。私は、当時自分の上司であったその人を今でも尊敬しています。
義務教育機関は、一年に3回、通信簿と呼ぶ成績表を出すことになってします。通信簿をもらった本人は苦手な科目を頑張らなくては思い、保護者は子供に苦手な科目を頑張らせなくては、と考えます。そして、学校側も苦手な科目を頑張ることを薦めます。義務教育ですから当然のことです。ところが、この考えは社会に出てからも本人に染みついたまま消えることはありません。その結果、上司は部下が苦手とするものをできるようにさせようとします。苦手なことを克服させることによって、何かを成し遂げさせようとしがちです。本当にそれでいいのでしょうか?。
ドラッカー教授はこう言っています。「不得手なものを並みの水準にするには、得意なものを一流にするよりもはるかに多くのエネルギーと努力を必要とする。あらゆるものが強みによって報酬を得る。弱みによって、人は何かを成し遂げることはできない」。苦手なことを得意にさせるには相当の労力が必要です。努力させる方も努力する方も心労が生れます。人が何かを成し遂げることのは、弱みによってではなく強みによってです。経営者は「苦手なことを克服させること」より「得意なことを成果をあげさせること」に心を砕かなくてはなりません。人の強みを成果をに変えることが経営者の仕事だからです。御社のさらなる繁栄のために、「どうすれば一人ひとりの強みを最大限に生かせることができるか」について取り組まれることをお薦めします。