マーケティング分析における標準的な問いはすべて答えなければならない。しかし、本当に重要な問いは、稀にしか提起されない問いである。しかし、それらの問いこそ、われわれに予期せぬものを教えてくれるものである。
ピーター・ドラッカー『創造する経営者』
いかなる状況がわが社の商品をなしでも済むようにしてしまうか?
ドラッカー先生の経営論は、経営者が押さえなければならないポイントを誰もが実践できるように質問形式でまとめられたものです。ところが、ドラッカー先生が提示してくれる問い中には、理解しにくいものがしばしばあります。たとえば、次のような問いです。いかなる状況がわが社の商品・サービスをなしでも済むようにしてしまうか?。なんとも考えにくい問いですよね。
アップルコンピューター社は、2001年10月、iPodを発表しました。iPodの販売台数が約10000台に達する頃、アップルコンピューター社では、毎週金曜日打ち上げで盛り上がっていました。ある一人を除いて・・・。そうです、その一人とは、スティーブ・ジョブズです。スティーブ・ジョブズは、幹部を集めて次のように言われました。
『急成長したデジタルカメラは、携帯電話にカメラ機能が搭載されてから急激に落ち込んでいる。携帯電話に音楽が聴ける機能が搭載されれば、iPodはいらなくなってしまう!。だから、次にわれわれが進む分野は電話だ!』 iPhoneはこうして生れたのです。スティーブ・ジョブズは、あの時こう考えていたのです。「いかなる状況がわが社の商品・サービスをなしでも済むようにしてしまうか?」