多くの経営者が座右の書として「ドラッカー」を上げている。だが、そもそもなぜ経営者はドラッカーを読むのか。ドラッカー専門のコンサルタントである山下氏によれば、「それは、社員としての仕事と経営者の仕事がガラッと変わってしまうから」だという。そして、そんな経営者に道を示してくれるのがドラッカーなのだ。数あるドラッカーの教えのうち、経営者にまず知っておいてもらいたいという「5つの質問」について寄稿してもらった。
取締役になったらドラッカーを読むべき理由
取締役になった瞬間、仕事がわからなくなる
「社長、経営って何ですか? 経営って何をすればいいんですか?」。これは以前、私が取締役の任命を受けた時、当時の上司である社長に言った言葉です。営業部の仕事は営業をすることです。経理部の仕事は経理をすることです。それと同じように、経営者の仕事は経営をすることです。経営者という肩書があるから経営者なのではありません。経営の仕事をするから経営者なのです。とはいえ、何をすれば経営をしていると言えるのか、何をしなければ経営をしていないことになるのか、当時の私はそれがまったくわかりませんでした。その時の社長の答えは、「それを考えるのが君の仕事だろ」でした。厳しい口調でしたが今思えば、「経営者の仕事は何をするべきかを考えることだ」と教えてくれた気がします。私は、取締役に昇進して嬉しかったものの、事実上、社会人1年生に逆戻りしたのと同じでした。しかも、「自分の仕事は自分で考えなさい」ですから、私は困り果ててしまいました。
自分の仕事にしか手が回らない取締役
私は仕事柄、多くの経営者の方々とお会いする機会に恵まれました。ところが、多くの経営者は、名刺に取締役と書かれながらも営業出身の人は客先を走り回っていて、経理出身の人は相変わらず電卓を叩いています。特に取締役の多くの方々は、取締役兼○○部長といったように、一つの部門の責任者を兼任されています。その、取締役兼○○部長は担当部門の仕事にフル回転で、とても経営の仕事に時間を割くことはできません。たとえ経営会議に出席していても、頭の中は「自分の仕事が溜まっていて忙しいんだ。早く自分の仕事に戻りたい」と思っていることでしょう。ほとんどの経営者は、営業部、管理部といった一つの部門の仕事を経験して経営者になっています。中には、もちろん学生時代に起業してそのまま経営者になった方もおりますが、ほとんどの経営者は、ある分野の仕事で経験を積んで経営者になっています。それが、ある日経営者になった途端、仕事の勝手がガラリと変わります。恐縮です。すべてここで紹介させて頂きたいのですがそれができないので、続きは下の画像をクリックしてお読み頂けます様お願い申し上げます。恐縮です。