事業の定義は、目標に翻訳しなければならない。
そのままではせっかくの定義も、決して実現されることのない洞察、
よき意図、よき警告に終わる。
ピーター・ドラッカー
意図なき経営計画は組織を疲弊させる
精巧かつ見事な経営計画
現在、ある企業でコンサルティングの仕事をさせてもらっています。
その企業のトップは先代から引き継いだ二代目の社長です。
その社長は、毎年毎年、経営チームを総結集して経営計画をつくっていました。
経営計画をつくる際は、必ず経営理念に立ち返り、使命、ビジョン、顧客、顧客のニーズ、
あげるべき成果、何に集中するかを明らかにし、
さらには、事業の存続と繁栄を決定付ける八つの領域で目標を定めていました。
その経営計画は、精巧かつ見事なものでした。
それは、敬意に値する真摯な取り組みと言えました。
実現されることのないよき意図
ところが、その会社は毎年○○○億円の目標をあと一歩のところで達成できない状態が
数年続いていました。コンサルティングとして関わってわかったことは、
経営計画の内容は精巧なものでも、見事なものでもはなかったのです。
せっかく決めたものが実現されることのない洞察、よき意図で終わっていたのです。
その会社で起こっていたことは下記A)のとおりです。
魂のない事業は発展しない
起こっていたことを一言でいえば、経営計画シートの記入欄に
情報を記入しているだけだったのです。言うまでもなく、経営チームの中に、
経営計画シートに情報を記入さえすればいいと思っている人間は一人としていませんでした。
しかし、現実は経営計画シートの記入欄に文字が記入されただけのものになっていました。
仏をつくって魂入れず、です。魂のない事業が発展するはずがありません。
そこで、経営チームと2年かけて下記B)を行いました。
それ以来、その会社は立てた目標を達成しています。
A)起こっていたこと
- 経営理念があっても心からそう思っているものでなかった。
- 経営チームで話し合っていても、話し合いになっていなかった。
- 使命が使命になっていなかった
- 何に集中するかを決めていたが何にも集中していなかった。
- 現場が経営計画を理解していなないために、経営計画は実行されなかった。
B)行ったこと
- 創業者にインタビューを行い創業理念からに経営理念を見直した。
- 第三者的立場から経営会議の進行を担う司会役を設けた
- 使命は美しい言葉を追究したものではなく、具体的に実現できる内容に変えた。
- 集中すべき仕事に集中するために、やめることを決めた。
- 経営計画に現場の声を反映させた。