企業にせよ、チームにせよ、シンプルで明快なミッションを
必要とする。ミッションがビジョンをもたらす。
ビジョンがなければ事業とはなりえない。
人の群れがあるだけである。
ピーター・ドラッカー
継承される会社の精神性
バスクリンは、1893年に創業し、
1897年、世界で初めて入浴剤を世に送り出した。
1930年、入浴剤に温泉成分や芳香剤を加え
て新たに生まれたのがバスクリンだ。
お風呂はすっかり日本に定着しているが
一般家庭に普及したのは1960年代に入ってからだ。
当時は、市場と言える市場はなく
バスクリンは銭湯によって普及していった。
世の中には創業百年を超える企業が数多くある。
ないものを考え出して価値あるものを生みだし、
市場を創り出すのは厳しい挑戦の連続だ。
バスクリンの古賀社長が
社長に就任し、最初に考えた事が、
わが社が社会のお役に立ち続けるために
わが社はどうあるべきかである。
つまり会社を永続的に発展させていくためには
必要なものは何か、を徹底的に思索された。
そもそもわが社は何のために存在するのか、
何のためという原点が曖昧で、
社会の変化によって右へ左へとブレてしまい、
社会の役に立つ事業とはなり得ない。
そして行ったことが経営理念の再定義だ。
経営理念とは「社会に対するわが社の根本的な考え」
を言い表したものだ。定義とは、意味を他と区別できるように
明確な言葉で特定することだ。
事業は時代の変化と共に変わっていく一方、
どんなに時代も変わらないものが経営理念だ。
何百年もその企業が生き続けたのは、
会社の精神性を受け継ぎ、新しい事業を生みだし、
組織を発展に導いた後継とその志を共にする同志がいたからだ。
ドラッカーはこう言っている。
いかなるミッションが有効であって
いかなるミッションが無効であるかである。
そしてミッションは何かである。
ミッションの価値は文章の美しさにあるのではない。
正しい行動をもたらすことにある。
ピーター・ドラッカー
経営者が経営理念を再構築する際、
直面するのが経営理念にまつわる言葉の意味だ。
それらが頭の中で散らかっていては
万代にわたって継承される会社の精神性を
目に見えるものにすることはできない。
経営理念が形式上のものになれば
会社の精神性を体現する人材も育たない。
正しい行動をもたらし、将来にわたって繁栄し続けるために、
わが社は何のために存在するのか、
ということについて取り組んでいただきたい。
詳しくは、こちらでお読みになれます
著 者 : ドラッカー専門の経営チームコンサルタント 山下 淳一郎
出版社 : 同友館 1,800円(税別)
『ビジョナリ―・カンパニー』の著者、ジム・コリンズはこう語る。
この世にあって何がしかの責任を担う者であるならば、
ドラッカーとは、いま読むべきものである。明日読むべきものである。
10年後、50年後、100年後にも読むべきものである。