成果をあげるには適切なことを適切に行うための
意思決定の能力が必要である。
ピーター・ドラッカー
ビジネスを成功させるために
ビジネスを成功させるためには専門家を使わなければならない。
そう語るのはカリフォルニアで不動産事業を行っている
シリコンバレー不動産のジェームス・ロビンソン社長だ。
シリコンバレー不動産は日系企業専門不動産会社で、
サンノゼ、サンフランシスコなどの
オフィス、店舗、住宅の賃貸全般を手掛けている。
シリコンバレーでロビンソン社長にお話しを伺った。
ロビンソン社長は日本で働いていた。
日本語が話せて日本の文化をよく知っている。
同社の設立は2004年。当時は物件の価格がどんどん上がっていく状況だった。
まさに不動産バブルだった。日系企業は人事異動で
海外拠点の責任者が3年から5年の周期で変わる。
日本の本社からシリコンバレーに転勤してくる人は当然、
住む家を探さなければならない。
創業当時は商業用の物件に力を入れていたロビンソン社長は
時代を先取りし、2008年に対象顧客を日系企業へと移行した。
現在は日系企業の商業用物件のみならず、
日本からシリコンバレーに転勤してくる駐在員の住宅物件の仲介も手掛けている。
日本からシリコンバレーに転勤にくるビジネスマンにとっては、
日本の文化を知り、日本語が話せる人はとても有難い。
なくてならない存在である。仕事は口コミで広がっている。
日本の賃貸契約は自動更新が一般的だ。
ところがアメリカは自動更新という慣習がない。
契約の期間が終了すると賃料が2倍にも3倍にもなることもある。
その都度、賃料の安いところを探すような付け焼き刃で
あってはいけないとロビンソン社長は言う。
シリコンバレーにいる駐在員は、日本の本社が決めた予算に基づいて
自分たちも予算の中で動いている。賃料が2倍、3倍になることは
想定していなかったために予算が大きく崩れてしまう。
日本の本社からすれば、駐在員に対して
「そんな重要なことを把握しておかなかったのか!?」ということになる。
また、日本では賃料を支払っていれば大家さんから追い出されることはない。
アメリカに自動更新がないことは前述した通りだが、
契約期間が終了すると出ていかなければならない場合もある。
これも日本とは大きく違う。住宅用物件の契約書も数十ページになり、
商業用の物件となると契約書の量は70ページにも及ぶ。
そこに書かれていることをすべて理解しきれないのが実情だ。
商業用の物件で重要なのは賃料だけでない。
私たちビジネスマンは「仕事をどううまく進めるか」については考える。
しかし「オフィスをどう効率的に使うか」については考えない。
物を造る工場は設備の配置によって生産性が大きく変わることはご周知の通りだ。
同じように、デスクの向き、会議室の広さ、更衣室等の配置によって、
業務効率に大きな差が生じる。オフィスの状態が仕事に与える影響は計り知れない。
ロビンソン社長は、訪問すればその会社の改善ポイントが一瞬で分るという。
上司は「部下をどううまく使うか」については考える。
しかし「オフィスをどううまく使うか」は考えない。
商業用オフィスの活用法はあまりに複雑であり、
にわかに覚えた知識を頼りにするのはリスクが高すぎる。
ドラッカーはこう言っている。
成果をあげるには適切なことを適切に行うための
意思決定の能力が必要である。
ピーター・ドラッカー