明日を実現するための第一歩が昨日を廃棄することである。
明日新しいことを行えるようになるための前提は、
もはや生産的でないもの、陳腐化したものから
自由になることである。
ピーター・ドラッカー
6.自分で自分を陳腐化させる
私はシリコンバレーに出張し、大変な衝撃を受けました。
3~4年前からシリコンバレーで起こっている
二つの大きな波がそれです。一つは、デジタル破壊。
ITを駆使したベンチャー企業が既存の事業を破壊していく現象のこと。
アマゾンによって多くの小売店や百貨店、スーパーが潰れています。
ウーバーによって倒産したタクシー会社も数知れません。
もう一つは、デジタル革命。デジタル破壊に巻き込まれぬよう、
様々な会社と提携して自ら変革していくという現象です。
例えば、GE(ゼネラル・エレクトリック)はその名のとおり、
もともと電気機器をはじめとする重工メーカーでしたが、
いまソフトウェア会社に変わりつつあり、
ソフトウェアの現在の売り上げは約7000億円、
2020年には二兆円に達すると試算されています。
シリコンバレーで起こる現象は、数年遅れで
日本に来ると言われているため、
デジタル破壊とデジタル革命が怒涛の如く
押し寄せてくることは紛れもありません。
このように社会が大きな変化を迎えている時に、
そのチャンスを生かし、社会のお役に立つためには何が大事か。
そのヒントがドラッカーの次の言葉に凝縮されています。
「明日を実現するための第一歩が昨日を廃棄することである。
明日新しいことを行えるようになるための前提は、
もはや生産的でないもの、陳腐化したものから
自由になることである。
前例踏襲、成功体験への執着を捨て去り、
絶えず自らを変革し、自分で自分を陳腐化
させることによって、常に最先端であり続ける。
ここに一つの解があるのではないでしょうか。
(原稿は出版社の編集者によるものです)
完
□ 2.3度にわたるドラッカーとの出逢い
□ 3.経営チームの第一歩は主語を「われわれ」にすること
□ 4.ドラッカー5つの質問
□ 5.人材育成の秘訣とリーダーの条件
□ 6.自分で自分を陳腐化させる
ドラッカー5つの質問 山下 淳一郎
成功を収めている企業は、「われわれの事業は何か」を問い、
その問いに対する答えを考え、明確にすることによって
成功がもたらされている。
ピーター・ドラッカー