ドラッカーは自らコンサルタントと言った
私は、経験豊かな成功している経営者さえ、
基本と原則を十分把握していないことに気がついた。
そこで私は、数年をかけて、マネジメントの課題と責任と
実践にかかわる基本と原則を総合的に明らかにすることにした。
ピーター・ドラッカー
ドラッカーをはじめて日本に紹介した人は野田一夫先生です。
野田先生が、ドラッカーと初めて会った時の会話は次のとおりです。
野田先生がドラッカーに、「ドラッカー教授」
と呼びかけたところドラッカーは、
「私は教授ではない。コンサルタントだ」と言われました。
当時ニューヨーク大学で教壇にっていたのに、
ドラッカーは自分のことを教授ではなく
コンサルタントだと言ったのです。
「私のマネジメントとの関わりは、第二次大戦中、
当時の最大最強の自動車メーカーGMでの調査に始まり、
アメリカの大手鉄道会社と病院チェーンへのコンサルティング、
カナダの政府機関再編への協力、日本の政府機関、
企業への助言と進んでいった。
それらの経験が私に教えたものは、
第一に、マネジメントには基本とすべきもの、
原則とすべきものがあるということだった。
第二に、しかし、それらの基本と原則は、
それぞれの企業、政府機関、NPOのおかれた国、
文化、状況に応じて適用していかなければならない
ということだった。
英語文化と仏語文化の共存が
大問題であるカナダの政府機関再編での経験は、
日本の自治体の再編、国との関係の再構築についての
助言という私の次の仕事には役に立たなかった。
同じように、歴史のあるアメリカのグローバル企業の組織構造は、
たとえ同じ産業にあっても、創業間もない日本のベンチャー企業の
組織の参考にはならなかった。そして第三に、
もう一つの、しかもきわめて重要な「しかし」があった。
それは、いかに余儀なく見えようとも、
またいかに風潮になっていようとも、
基本と原則に反するものは、例外なく時を経ず破綻する
という事実だった。基本と原則は、
状況に応じて適用すべきものではあっても、
断じて破棄してはならないものである。
ドラッカーはこのように言っています。
ドラッカーは学者だという人がいます。
それは間違いではありませんが、
ドラッカーは、多くの組織の繁栄に貢献した
実務を知り尽くした著述家であり、コンサルタントなのです。