失敗しなければわからないこと
私が経営チームのリーダー役として、
はじめて経営計画をつくった時のことだ。
教科書どおり通りに経営計画をつくっても、
現場は教科書どおり進まなかった。
経営チームを結成して一年目に壁にぶつかり、
大きな失敗をしでかした。
当時の私はそんな現実に直面し、途方に暮れていた。
私は「言うだけ番長」に過ぎなかったのだ。
もちろん社長に叱られた。そして社長から、
「来期同じ失敗をしたらリーダー役を降りろ」と言われた。
岡目八目。囲碁は碁を打っている本人よりも、
解説者の方が気持ちに余裕があるため客観的な判断ができる。
岡目八目とはそんな意味が込められた言葉だ。
失敗を招いた本人である私は、どうしていいかわからなかった。
「マネジメントや合意形成など面倒なことはもうやめだ!
こうなったら指示して強制的に現場を動かした方が話は早い!」
そんな誘惑に駆られた。
その時に、当時の社長から教わった言葉が岡目八目である。
社長は私に「客観的に考えろ」と言いたかったのだ。
私は、立てた計画を発表すれば
現場はそれを実行してくると思い込んでいた。
当時、経営計画を立てただけで、経
営計画の意図が誰にも伝わっていなかった。
「立てた計画を知ってもらうこと」と
「立てた計画を実行してもらうこと」はまったく違う。
計画はこちらの意図が現場の隅々にまでしっかり伝わり、
一人ひとりが「そのように進めていけばいいんだな」
というところまで腹落ちしてこそ意味がある。
計画とは人の意欲を引き出し、
実行できる状態まで持っていってはじめて
完結するものだということを、私は自分の失敗からを学んだ。
それは失敗しなければわからないことだった。
成功は自己陶酔に陥ると何も学べないが、
失敗は苦しむがゆえに多くのことを学べる。
ドラッカーはこう言っている。
事業が成果をあげるには、一つひとつの仕事を
事業全体の目標に向けなければならない。
仕事は全体の成功に焦点を合されなければならない。
ピーター・ドラッカー
事業を成長させるために、会社として
取り組まなければならない課題はあまりにも多い。
事業面においては、マーケティング、イノベーション、
戦略の策定、目標の設定、計画の立案、営業の推進。
組織面においては、部門の編成、計画への理解、
仕事の分担、責任と権限の明確化、
会議体制や運営ルールの取り決め。
人材面においては、採用と配置、育成の制度、
評価制度、給与体系、昇格制度。
それらは一つひとつ異なる動きであると同時に、
すべてが相互に関わり合いながら会社は動いている。
何か一つを疎かにすれば、組織の健康は損なわれ、
事業は迷走する。
組織のエネルギーが、自動的に成果があがる方向に
向かってくれるわけではない。
では、どうすればいいのだろうか。
それを、ドラッカーのセミナーでお伝えさせて頂いている。
ドラッカーをもっと知りたい社長様へ
基本と原則に反する者は例外なく破綻する。
ピーター・ドラッカー
今以上に事業を伸ばしていくためには、基本と原則は不可欠です。
さらなる発展のために、ドラッカーを学びましょう。