組織が事業において業績をあげるためには、「現業の仕事」、
「革新のための仕事」、「トップ・マネジメントの仕事」の
三つの仕事を組織化する必要がある。
ピーター・ドラッカー
「業務の情報共有」と「事業の意思疎通」は違う
御社の経営会議は成果が出ていますでしょうか?
御社の経営会議は何を話し合い、どのように進めているでしょうか。
どんなにいい会社であっても問題は山積しています。
会議はどうしても、問題の解決に終始しがちです。
目の前の問題を無視するわけにはいきません。
かといって、問題の解決だけに時間を費やせば、
事業は業績をあげることができなくなっていきます。
目の前の問題を軽視せずに、問題解決と並行して、
機会に焦点をあてるためにはどうすればいいのでしょうか。
ドラッカーはこう言っています。
問題ではなく、機会に焦点を合わせることが必要である。
もちろん問題を放っておくわけにはいかない。隠しておけというわけではない。
しかし問題の処理では、いかにそれが重大なものであろうとも、
成果がもたらされるわけではない。損害を防ぐだけである。成果は機会から生れる。
ピーター・ドラッカー
問題の解決と同時に、機会に焦点をあてるということは、
「業務の情報共有」だけではなく、「事業の意思疎通」を
行わなければなりません。
経営会議は、ややもすれば報告会になりがちです。
「事業の意思疎通」を行うためには、話し合いが必要です。
どのような話し合いが理想でしょうか。
ドラッカーはこう言っています。
「われわれの事業は何か」との問いは、異論を表に出すことに価値がある。
それによって、互いに考えの違いを知ることが可能になる。
逆に、見解の相違に十分な理解がないことが、トップマネジメント内の
感情的対立やコミュニケーションの齟齬の原因となっていることが少なくない。
ピーター・ドラッカー
「われわれの事業は何かとの問いは」とは、
「事業の根幹を問いただし、事業の核心を明らかにしていこう」
ということです。ドラッカーはさらにこう言っています。
この問いは、トップマネジメントのメンバー間に
考えの違いがあることを必ず明るみに出す。長年ともに働き、
考えを知っていると思っていた者たちが、突然、きわめて基本的なことで
考えが異なることを知って愕然とさせられる。
ピーター・ドラッカー
「業務の情報共有」では、トップマネジメントのメンバー間の
考えの違いは明るみになりません。「事業の意思疎通」によってのみ、
重要なことを浮き彫りにすることができます。
経営チームの生命線は意思の疎通です。
意思の疎通とは、自分の専門領域に埋没せずに行う真摯な話し合いです。
一方、日々の現実は「業務の情報共有」に多くの時間が費やされるため、
「事業の意思疎通」に使える時間は殆ど割り当てられていません。
「事業の意思疎通」は疎かになりやすいのが現実です。
結果として、やがて「業務の情報共有」と「事業の意思疎通」が
同一のものという誤認識が生まれます。
それが「業務の情報共有」しか行えてない場合であっても、
「うちの会社はちゃんと事業の意思疎通が出来ている」
と言う錯覚に陥ります。
事業において業績をあげるためには、
そのような錯覚は回避しなければなりません。
そのために、「事業の意思疎通」を
経営会議の議題に入れておくことをお勧めします。