一人のトップマネジメントからトップマネジメントチームへの移行がなければ、企業は成長どころか存続もできない。成功している企業のトップの仕事は、チームで行われている。
ピーター・ドラッカー『マネジメント』
メールマガジン第503号に掲載
経営革新!100人のコンサルが語る事業成功の秘訣
http://www.consulgent.co.jp/mag/503.html
1.社員の持てる能力を引き出せない会社
社員を成長させるためには、まず、社員が本来持っている強みを知る方法があります(そんな面倒な!と思われた方は、最下部をご確認ください)。そして、その強みを発揮できる環境を作ることは、とりわけ組織の役目であり、経営者の責任の一つです。御社の実態はどうでしょうか。会社は、いうまでもなく、成果を出しいて欲しいと考えています。しかし、社員の強みが発揮されていると感じている経営者はそんなに多くいません。
2.強みを発揮している会社の共通点
強み=能力と言い換えてもいいでしょう。能力を発揮している社員は、自分自身がやらなければ他にやる人はいない、と思いながら仕事に取り組んでいます。つまり、その仕事の最終責任は、自分自身であると認識しています。どんなことがあっても、仕事の完遂のために自分の能力を全力で発揮しようとし、発揮しているのです。
これは、経営者であるわたしたちが、会社を経営しているときの感覚と同じですね。経営者は、事業の成否を左右するのは、自分自身であるため、常に責任以上の責任を担いながら、未来を見据えて、現在を思案しています。この“最終責任は自分”という意識を社員一人ひとりに持たせることができたなら、社員は、持てる能力を最大限に発揮するようになるはずです。
3.社員の思考停止はこうしてつくられる
「あれをやっておいてくれ!」、「何度言ったらわかるんだ!」。これは経営者の方であれば一度は放ったことのある言葉ではないでしょうか(笑)。指示・命令は話が早い分、社員の頭脳を停止させます。もし、指示、命令が経営者の習慣であれば、社員の頭脳停止も習慣になります。
それでは、やがて、組織は立ち行かなくなります。
4.新しい取組み
わたしがお手伝いさせて頂いているある会社で、経営チームと協議の結果、経営チームは、社員一人ひとりと話し合いの場を持つ、という新しい取組みをしました。一見、当たり前に聞こえることも、じつは「新しい取組み」であったのです。言い換えれば、経営層と社員の間でほとんどコミュニケーションがなかったのです。実は、このコミュニケーション不足は、多くの会社で見られます。
社員はよりよい仕事をしたいと願っています。経営チームが、社員一人ひとりと話し合いの場を持つようになってからは、大変でした。それは、いままで地下で動いていたマグマが組織に噴火し始めました。単に言って聞かせるだけではなく、社員の考えを聞く、という行為により、社員一人ひとりに責任感が生まれ始めました。
5.何が起ったのか?
社員は、経営者の一言一言を、経営者がかんがえる以上に敏感に受け取っています。そして、すべてをいつまでも忘れずに覚えています。経営層と社員の間でほとんどコミュニケーションによって、一人ひとりに責任感が生み出され、社員が、そして、2ヶ月ほどで、組織は一変しました。
6.社員の意欲が生み出されるとき
彼らを変えたのは、経営者の指示ではなく、彼らの仕事が重要であることを一人ひとりが自覚し、そこから責任が生じた結果なのです。つまり、社員の能力を発揮させられない原因は、実は、社員にそれだけの責任を与えていないということに尽きるのです。
人の能力は、お金で買えませんし、社員の意欲はなおお金で買うことはできません。その仕事の価値は、仕事の内容よりも仕事の目的で決まります。つまり、組織は、何を実現しようとしているのか、いま、社員の能力、意欲を高めてもらうために、仕事の意味、働く意味を共有するコミュニケーションの場が必要なのです。ぜひ、社員の強みを知り、その能力を最大限に生かすために、何か「新しい」取組みをされてみることをお薦めしたいと思います。