知識労働の生産性についての研究は始まったばかりである。
だが、すでにかなりのことがわかっている。
答えのわからない問題が何かもわかっている。
知識労働の生産性向上の条件は、大きなものだけで六つある。
ピーター・ドラッカー
知識労働の生産性
生産性という言葉は第二次世界大戦まで使われていませんでした。つまり、何千年のも間、単純労働の生産性については誰も考えていませんでした。1960年代、高度に発達した社会でさえ多くが工場で働く人、炭鉱で働く人、運輸関係で働く人でした。しかし、2000年以降、知識労働者が労働人口の大半を占めるようになりました。
知識労働者がまだごくわずかしか存在しない時、知識労働者の生産性はさほど重要視するべきものではありませんでした。たとえば、ある弁護士の生産性が低かったとしても、損をするのは、その弁護士本人だけでした。しかし、前述したように、知識労働者が急増した以上、知識労働者の生産性は、競争社会の組織の運命を左右し国の繁栄や世界経済における影響力を決定付けるものとなりました。
ところが、現在は、単純労働の生産性について誰も考えていなかったと同じようにその重要性は語られていません。これは深刻な状況です。知識労働は、人が人に指示命令することによって生産性をあげることはできません。仕事の生産性を高めることができるのは、知識労働者本人です。その知識労働者の生産性を高める方法は、既に、ドラッカー教授によってかなり明らかなものになっています。そのポイントは次の6つです。
- 成し得るべきもの決める。
- 仕事に責任をもたせる。
- 仕事を常に進化させる。
- 学び、教える組織をつくる。
- 達成するものを明らかにする。
- 仕事の価値を明らかにする。