問題の解決によって得られるものは、通常の状態に戻すことだけである。せいぜい、成果をあげる能力に対する妨げを取り除くだけである。成果そのものは、機会の開拓によってのみ得ることができる。
ピーター・ドラッカー『創造する経営者』
機会の開拓によってのみ得ることができる
本日、懇談した社長の方から、経営コンサルタントについて、あるサイトで次のように記載されている旨を聞きました。「 顧客企業や経営者から依頼を受けて、経営上の問題を解決するための支援を行う。経営コンサルティングは、個人が行うこともあれば、法人組織が行うこともある」。経営の父、ドラッカー教授は個人事業主としてコンサルティングをされていました。マッキンゼー・アンド・カンパニー社は、組織としてコンサルティングをされています。このように、経営コンサルティングは個人が行うこともあれば、法人組織が行うこともあるという点は事実です。
「顧客企業や経営者から依頼を受けて、経営上の問題を解決するための支援を行う」という点については、内容を満たすのにもう少し情報が必要です。それは、経営者の本来の仕事は、過去に由来する問題を解決することではなく、会社の未来をつくり出すことだからです。経営コンサルティングは、経営上の問題を解決するためだけではなく、経営の質を高める支援が含まれるという内容を補足します。
問題の解決とは本来の状態に戻すだけのことです。問題を解決したからといって、自動的に事業が繁栄してくれるわけでもなければ、、自動的に組織が発展してくれるわけでもありません。問題の解決とはどこまでもいってもマイナスをゼロの状態に戻すだけのことなのです。また、どんなにいい会社でも問題は抱えているものです。その問題が完全になくなるまで対応していたら永遠に労力は問題の解決に費やされることになってしまいます。問題の解決に対応しながらも、明日をつくり出すことに軸足を置くことによってはじめて、事業は繁栄し、組織は発展し、人材は成長していくのです。経営の父曰く、成果そのものは、機会の開拓によってのみ得ることができる、です。