いかに努力したとしても、能力と知識の向上に関しては、
大幅な期待をすることはできない。もはや、これ以上は不可能か、
あるいは限界に達している。
新種のスーパーマンを育てることはできない。
現在の人間を持って、組織をマネジメントしなければならない。
ピーター・ドラッカー『現代の経営』
忘れかけた基本に立ち返る
わたしは以前、ある会社で経営陣の一人として仕事をしていました。会社組織は、毎年毎年高い目標が上乗せされていきます。「高い目標」とは言うものの、早い話が「強制的なノルマ」です(笑)。前年度を上回る業績を上げるためにできることは、「仕事の量を増やす」か「仕事の質を高める」かのいずれかです。既に、不眠不休で仕事をしているところに、さらに仕事の量を増やすことは、もはや不可能でした。
かといって、ある日突然スキルが高くなることはあり得ません。「いかに努力したとしても、能力と知識の向上に関しては、大幅な期待をすることはできない」、です。したがって、いまと同じ仕事量で、いま以上の成果をあげるためには、「仕事の質を高める」以外にありません。仕事の質を高めるために必要なものは、「基本に立ち返ること」です。
ドラッカー教授の経営論にウルトラCはありません。ドラッカー教授の経営論は、押さえなければならない基本が列挙され、誰もが実行できるように整理された『経営の原典』です。前年度を上回る業績を上げるということは、前年度を上回る顧客満足を獲得するということです。前年度を上回る顧客満足を獲得するために、ぜひいま一度「経営の基本に立ち返ること」からスタートしてください。