経営者には、外部の人間の客観的なアドバイスが必要である。意思決定について話し合い、耳を傾けることのできる相談相手を必要とする。経営者の判断や強みを問題にできる外部の人間が必要である。
ピーター・ドラッカー『イノベーションと企業家精神』
貴重な時間は最も重要なことに!
経営者に「経営指導」はいらないはずです。なぜなら、その会社にとって一番相応しい経営がわかるのは、その会社の経営者だけだからです。同時に、どんなに優れた方法であったとしても、経営を行うのは経営者ご自身です。だからこそ「適正解を導き出すための方法」が必要なのです。
FBI捜査官は、任務を果たすために様々な能力が必要です。しかしFBI捜査官は容疑者の似顔絵を描くことはできませんし、容疑者の口調から真偽を聞き分けることもできません。かといってFBI捜査官が似顔絵の描き方や嘘を見抜ける技術を学ぶことは適切とは言えません。FBI捜査官は専門家を使うことによって任務を果たしています。FBI捜査官は限られた貴重な時間を任務遂行にあてています。経営者はFBI捜査官と同じように、「専門知識を学ぶ人」ではなく「専門家を使う人」です。大統領は、職務である国政を全うするために必ず法律の知識が必要です。しかし大統領は法律の専門的な知識を持っているわけではありません。かといって大統領が法律の学習に時間を使うことは適切と言えません。
大統領は、司法長官という法律の専門知識から助言をもらったり、彼らの手を借りて職務をまとうしています。大統領は限られた貴重な時間を国の繁栄のために使っています。経営者は、大統領と同じように、「専門知識を持つ人」ではなく「専門家の知識を使う人」です。ぜひ大統領のように、貴重な時間のすべてを最も重要なことに使ってください。