リーダーシップとは人を引きつけることではない。そのようなものは煽動的資質にすぎない。仲間をつくり、人に影響を与えることでもない。そのようなものはセールスマンシップにすぎない。
ピーター・ドラッカー
一本一本の草木に適した手入れをする
会社が発展するには、事業を推し進めていく人が必要です。そのような人を私たちは総じてリーダーと呼んでいます。リーダーが組織で成果をあげるためには、学ばなければならないことは山ほどがあります。その一方で、リーダーは、すべての能力を備えた人のことではありません。どれだけ人の協力を得られるかがリーダーに求められる能力です。リーダーの仕事は「組織を引っ張っていくこと」ではなく「組織本来の力を最大限に引き出すこと」です。
組織といっても一人ひとりの集まりです。組織の成長は、今いる人にどれだけ活躍してもらうことができるかどうかにかかっています。草木にしても、太陽さえ輝いていれば、すべての草木に光が当たるとは限りません。日陰になって、光を遮られている木もあれば、害虫に置かされていることもあるかもしれません。また栄養が不足している場合だってあります。そうした一つ一つの事態に的確に対処し、手入れを重ねてこそ、草木は育ちます。組織も同じです。
「リーダーは人を動かすこと」などという考えはもってのほかです。それは「人を動かす側」と「人に動かされる側」がいるという的外れな考えの上に成り立っているものの言い方です。一本一本の草木に適した手入れをすることがリーダーの役目です。そのような地道な仕事をおろそかにしてしまえば、どんなに組織が発展しているように見えても、働く人の力を発揮されず、組織はやがては行き詰ってしまいます。一人ひとりへの対応を地道に行っていってください。