未来に何かを起こすには勇気を必要とする。努力を必要とする。信念を必要とする。その場しのぎの仕事に身を任せていたのでは、未来はつくれない。
ピーター・ドラッカー
担う役割と業務対象から見る考察
先日は、あるコンサルティング会社が主催する会で、ドラッカーの講演をさせて頂きました。講演の場には必ずと言っていいほど、税理士さんがいらっしゃいます。経営者が税理士さんに経営のアドバイスを求められるからか、または、税理士さんが経営者にアドバイスをしたいとお考えか、いずれかはわかりませんが、税理士さんが講演にいらっしゃる目的は、顧問先の社長へのアドバイスのネタを仕入れるためのようです。おそらく、顧問先を維持し、かつ顧問先を増やしていくため、サービスの付加価値として、経営者に有益なアドバイスをすることを自らに課しているものと思われます。
税理士さんは、税理士法に基づいて、納税に関する書類作成や手続きを行う税理の専門家です。つまり、税理士さんの役割は、税理士法に基づく仕事の性質上、業務の多くが「結果に対するもの」です。それに対して、経営コンサルタントの役割は、「未来に対するもの」です。税理士とコンサルタントが担う役割は、根本的に異なります。ゆえに、お互いが歩み寄る理由はあっても、対立する理由はどこにもありません。
税理士さんの職務は「納税に関する手続きを担うこと」が中心であるため、その業務対象は「会社」であり、コンサルタントの職務は「会社の未来を創ること」が中心であるため、その業務対象は「経営者」となります。社会が複雑になるにつれて、一つひとつの仕事の専門性は、ますます高まっていきます。税理士さんは税理士さんの専門性を高め、コンサルタントはコンサルタントとしての専門性を高めゆく中で、それぞれの異なる役割が相まって、社会に価値を創り出していくことができると信じています。