成果をあげる人とあげない人の差は才能ではない。組織というものが最近の発明であるために、人はまだこれらのことに優れるに至っていない。
ピーター・ドラッカー
リベラルタイム 3月号 ドラッカーの金言 山下 淳一郎
ほとんどの人が組織に属して仕事をしています。「オレは聞いてないぞ」「検討しておく」「それはいいが前例がない」「それはうちの部署の仕事ではない」。これらの言葉は、誰もが一度は聞いたことのある言葉だと思います。あらゆる組織が社会の変化に後れをとらないように日々努力しています。その一方で、何か新しいことを始めようとすると、「オレは聞いてないぞ」というような抵抗に遭い、気が付けば調整という根回しに奔走せざるを得なくなるのが現実の姿です。また、考え抜いた企画案は何度もダメ出しをされ、ブラッシュアップされた企画案は、いくつもの階層を登り、やっと経営層に辿り着いたかと思えば、「検討しておく」の一言で忘れ去られたかのように、塩漬けにされてしまうことはよく耳にするお話です。
消費者が買い消費者が使っているものは、全て企業が考え企業がつくり、企業が提供しているものです。社会を幸福に導くのは商品やサービスを提供している企業です。私達一人ひとりの日々の仕事は、集積されたエネルギーとなって、社会にいい影響を与えています。ゆえに、事業の停滞は社会に与えるいい影響を、少なくしてしまっていることに他なりません。伸びるはずの事業でありながら停滞を許してしまっている事業が、どれほど多いことか。優れた力を持ちながら、その力が発揮されないのは、会社にとっても社会にとっても大きな損失です。そうならないためにどうすればいいのでしょうか?。
事業を発展させていくためには、複数の人間で多様な課題を同時に進めていかなくてはなりません。加えて事業は組織を通じて会社全体の成果をあげる仕事であるため、有機的な連携がとれるに至るまで時間と労力を要します。組織は人の集まりではなく考え方の集まりです。ゆえに、何かが決定してから、その決定内容を通達するのではなく、早い段階でいろいろな人を巻き込んでいくことが必要です。巻き込むこととは「味方になってもらうということ」です。味方になってもらうということは「私の考えを私達の考えにしていくということ」です。