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月刊BOSS連載 ソニー創業時から得る教訓

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最も問うことの少ない問いである。答えは明らかだと思い込んでいるからである。品質が価値だという。この答えはほとんど間違いである。顧客は製品を買ってはいない。欲求の充足を買っている。彼らにとっての価値を買っている。
ピーター・ドラッカー

自分たちの商品、サービスを必要とする人は何処にいるのか

 

ソニーは、1950年に日本初のテープレコーダーを発表しました。重さは35キロ、価格は17万円でした。当時の大学の初任給が1万円程度ですからかなりの高額品です。創業者の一人である盛田昭夫さんはテープレコーダーを売るためにデモに奔走しました。友人知人の声をその場で録音してはその場で聞かせていきました。みんな驚き、みんな気に入ってくれました。ところが、買ってくれる人は誰一人としていませんでした。誰もがみんな口を揃えて「おもちゃにしては高すぎるよ」と言いました。どんなにテープレコーダーの良さを説明しても一台も売れませんでした。

戦後間もない当時の日本は、専門分野の教育に遅れをとっていました。遅れの一つは「速記」でした。裁判所では速記の人手が足りず、速記の方はみんな過重労働に苦しんでいました。盛田昭夫さんはテープレコーダーを売り込むために、裁判所に訪問しました。まったく売れなかったテープレコーダーが一瞬にして20台売れました。裁判所にとってテープレコーダーは「おもちゃ」ではなく、「仕事の効率を高めてくれる貴重なもの」でした。また英語教育の機材として学校にも売れていきました。一台も売れなかったテープレコーダーはこうして日本全国に普及していきました。

どんないい性能であっても、どんなにいい製品であっても、お客様が価値ありと認めなければお客様は買ってくれませんね。自分たちの商品、サービスを必要とするお客様はどんなお客様なのか。そのお客様はいったい何処にいるのか。日本を発展させてきた名経営者は、そんな問いについて考え抜く重要性をあらためて教えてくれている気がします。続きは・・・(月刊BOSS11月号より一部抜粋

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