あらゆる者が、強みによって報酬を手にする。弱みによってではない。したがって、常に最初に問うべきは、われわれの強みは何かである。
ピーター・ドラッカー
それが、事業を繁栄させる条件
1974年、山口県に呉服屋としてスタートしユニクロは、今日では、売上高6000億を超えるグルーバル企業へと大発展した。急速な発展を成功に導いたものはなんだろうか。もちろん、柳井会長の卓越した経営手腕によるものであることは今さら言うまでもない。ユニクロの強みはなんと言っても、顧客のニーズに先行して顧客の声を商品化することあるといえるだろう。そんなユニクロも海外に事業を展開した時、思わぬ試練に遭遇している。
2001年、ユニクロは海外の第1号店をイギリスに出した。階層意識の強いイギリスの組織は、店長は店長と、マネジャーはマネジャーといったように同じ役職者としかコミュニケーションをとらない傾向がある。しかし、当時のユニクロは、イギリスの文化に合わせて階層ごとに厳密な役割を設けた組織で事業を進めていった。その後、21店舗まで拡大したものの、2年後にはたった5店舗だけになってしまった。業績が目標に達しなかったため撤退したのだ。
ドラッカー教授は、次のように言われている。「あらゆる者が、強みによって報酬を手にする。弱みによってではない。したがって、常に最初に問うべきは、われわれの強みは何かである」。ユニクロの強みはフラットな組織で事業を進めるところにあるとファーストリテーリングの柳井会長は語る。階層ごとに厳密な役割を設けた組織で業務を進めていくというやり方は、ユニクロの強みに反していたものだった。ユニクロはその経験を生かして、 海外でも自分たちの強みを生かしたやり方に生えていった。その後ロンドン支店の業績は黒字に転じだ。2002年には上海、2005年には香港、そしてロッテとの合弁で韓国に、2006年には、ニューヨークに出店し大きな成功を収めている。事業を進める主体が人間である以上、その国の習慣や文化を理解しなけれならない。しかし、事業を繁栄させる条件は強みを生かすことにある。ユニクロの挑戦は、わたしたちにそのような教訓を与えてくれている。強みを活かして成果をあげるために、ぜひ自社の強みが最大限に生かされているかどうか検証してみていただきたい。一部抜粋(続きは、月刊BOSS07月号)