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同じ状況下、破綻した会社と発展した会社

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いかなる分野において成果があがらないとき、致命的な損害を被るか?
ピーター・ドラッカー

その視点で事業を考えたかどうかの差


1970年代、ニューヨークは不況に陥り、100万人がニューヨークから出ていってしまいました。そして、1977年、ニューヨークは7日間停電になり、原因不明で復旧の未通しなし(!)という非常事態宣言が発令されました。その停電によって、病院の機能は停止し、観覧車に乗っていたお客様は宙づりのままとなりました。スーパーで起こった略奪は約2000件、その時のニューヨークは、まさに地獄そのものだったと言われています。

ニューヨークを襲ったその大停電は、成功していた多くの証券会社を破綻に追いやりました。一方、その当時まだ小さな証券会社に過ぎなかったメリル・リンチは大きく伸び、大手に成長しました。同じ状況で同じ業種でありながら、かたや破綻に追いやられ、かたや伸びていった、その差はどこにあるのか。多くの証券会社がやらずメリル・リンチだけがやっていた事とはいったい何だったのか。メリル・リンチは、お客様の注文情報のバックアップにかなりの労力と費用をかけていました。それに対し、多くの証券会社は、お客様の注文情報のバックアップに労力も費用もかけていませんでした。

ドラッカーはこう言っています。「いかなる分野において成果があがらないとき、致命的な損害を被るか?」。この問いは、”わが社はどんな仕事がうまくいかなくなると取り返しのつかないことになるか?”ということについて考えよ”、という意味です。メリル・リンチは、その視点で自分たちの事業を考えたために、お客様の注文情報を管理する分野において成果があがらないとき致命的な損害を被る、ということが見えたのです。だから、具体的な手を打てたのです。一方、多くの証券会社は事業の急所に対して完全に無防備のままでした。同じ状況下で、破綻した会社と発展した会社の命運を分けたものは、「いかなる分野において成果があがらないとき、致命的な損害を被るか?」という視点で事業を考えたかどうかだけの違いです。

「いかなる分野において成果があがらないとき、致命的な損害を被るか?」という視点で事業を考えてみてください。必ずやるべきことが見えてきます。

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