富の創出能力の最大化こそ、短期と長期の成果を総合し、
かつマーケティング、イノベーション、生産性、人材育成などの
事業上の成果を財務上の成果に結びつけるものである。
そして、この目標こそ、株主、顧客、従業員など
あらゆる利害当事者を満足させるうえで必要なものである。
ピーター・ドラッカー
まず、あげるべき成果を決める
コーポレート・ガバナンス。
それは、企業の不正行為が取り沙汰されると
必ずメディアに出てくる言葉です。
多くの人が使っているコーポレート・ガバナンスとは、
企業に不正が起こさないための見張りのことでしょうか。
それとも、不正が起こさないようにするための
見張りのことでしょうか。
または、情報を正しく開示するその方法のことでしょうか。
あるいは、監査役や取締役のあり方のことでしょうか。
たしかに、コーポレート・ガバナンスとは、
総合的かつ長期的な企業価値向上の取り組みで
あるがゆえに、一言で言い切るのは困難かもしれません。
不正が相次ぐと、コーポレート・ガバナンスは
経営層の暴走や組織だっての不正行為を防止する
規制のような認識が生まれてしまいます。
ゼネラル・エレクトリックのCEOをつとめた
ラルフ・コーディナーは上場企業の
トップマネジメントは受託者であるとしました。
受託者とは「委ねられた人」のことです。
何を委ねられたか。企業のトップマネジメントは
「経営を委ねられた人」です。
委ねられたからには、責任があります。
その責任とは何か。ラルフ・コーディナーは、
「株主、顧客、従業員、取引先、地域社会の利害を
最もよくバランスさせてマネジメントすること」としました。
この考えは成果の定義がなされていないと
ドラッカーは指摘しています。
ドラッカーはこう言っています。
「コーポレート・ガバナンスとは
富の創出能力を最大化させることである。」
具体的に言い換えれば、事業が理念基づいて方向づけされ、
理念に基づいた成果があがる活動をしているかどうか、
コーポレート・ガバナンスとはその具体的な運営のことです。
目的なく方法論を追及しても、その方法論に意味はありません。
同じように、あげるべき成果が曖昧なまま、
運営の良さを追及しても意味がありません。
「わが社はどんな成果をあげるのか?」
という問いに対する経営チームの決定なくして、
運営を改善しても何も起こりません。
ぜひ、経営チームであげるべき成果を決定してください。