いかなる部門のマネジメントが、いかなる決定に参加し、
相談を受け、あるいは決定の結果を知らされなければならないか。
これらの問いに対する答えが、組織における活動の位置づけを左右する。
ピーター・ドラッカー
いたすらに抽象的な議論を引き起こすもの
ホールディングスとは、
「株を持つ会社」と「事業を行う会社」を
分けて組織を運営する方法のことです。
突き詰めて言えばその本質は事業部制と同じです。
事業部制とは、テレビ、カメラ、パソコン
というように、商品ごとに組織を分けて
事業を運営する形態のことです。
一つの事業部は、あたかも一つの会社のように
運営できることが条件です。市場が違えば課題も異なり、
顧客が違えば活動も異なります。事業部ごとに目標が違い、
事業部ごとに活動があります。
ホールディングスにすると、
「株を持つ会社」と「事業を行う会社」の法人に分れるため、
株を持つ会社のトップは社長、同時に事業会社のトップも社長。
社長が何人もいることになります。いわゆる「船頭多くして…」
という事態に遭遇し、組織に混乱が起こります。
持ち株会社のあり方や、持ち株会社と事業会社の間で、
いたすらに抽象的な議論が起こります。
この混乱に悩むトップは多くいます。
これが、ホールディングスでよく起こることです。
「持ち株会社は各事業会社を"経営"するのか(Management)」
「持ち株会社は各事業会社を"統制"するのか(Governance)」
「持ち株会社は各事業会社を"管理"するのか(Administration)」
どれなんだ、という議論に陥ります。
この混乱の正体は何かー。この混乱はホールディングスという
あり方によるものと誤解されがちですが、
ホールディングが混乱を生んでるわけではありません。
組織の混乱を生むのは、常に組織ではなく人間です。
では、この混乱を回避するためにどうすればいいのでしょうか。
ドラッカーはこう言っています。
いかなる部門のマネジメントが、いかなる決定に参加し、
相談を受け、あるいは決定の結果を知らされなければならないか。
これらの問いに対する答えが、組織における活動の位置づけを左右する。
ピーター・ドラッカー
ホールディングスの混乱は、
責任と権限の曖昧さが組織で表れているにすぎません。
ぜひ下記の3つのを取り決めて頂きたいと思います。
- 持ち株会社の社長はどんな決定に関わり、どんな決定に関わらないのか。
- 持ち株会社の社長に事業会社の社長が得なければならない了解は何か。
- 持ち株会社の社長はどんな報告が必要で、どんな報告は必要ないのか。
それらを決めることよって、持ち株会社と事業会社の
責任範囲と権限が浮き彫りになり、誰も主語にならないような
不毛な議論は起こらなくなります。