未来において何かを起こすということは、
新しい事業を作り出すということである。新しい経済、
新しい技術、新しい社会についてのビジョンを
事業として実現するということである。

ピーター・ドラッカー

 

米国企業のAicare社のCEOショーンの信念

 

「高齢者が明日を楽しみにする社会にしたい」。
そう語るのは米国企業エー・アイ・ケアの
CEOショーン・タン氏とCMOのフィル・ヤン氏だ。
フィル・ヤン氏はイェール大学の医学博士、
スタンフォード大学の心臓血管系医学准教授であり、
15以上の賞を受賞している。

 

今、高齢者が安心して生活できる社会かと言えば
けっしてそうではない。多くの人が老後に不安を感じ、
多くの高齢者が問題を抱え日々を過ごしている。
20分毎1人が転倒で命をなくし、転んだ人の25％は入院し、
うち40％は老人ホームに入る。

 

高齢者の転倒率は33%、再転倒率は50％、入院率は25%、
高齢者ホーム入居率は40%。認知症の徘徊率は60%で
うち50％の人が24時間以内に発見されずに
大怪我または亡くなっている。

 

老人ホームでの部屋の確認は2時間おき。
室内で起こる事故は80%で2時間おきの確認では足りない。
手が足りない介護者の業務も限界にきている。
高齢者化社会という言葉を聞いて久しいが、
それは新しい種類の問題である。
起こっている問題は大きなものでありながら、
誰もまだ適切なサービスを提供するに至っていない。

 

その解決に必要なものとは何か。
まずは瞬時に個人を識別し、どこにいて
どう動いているかわからなければならない。
次に、瞬時にその行動を把握しなければならない。
そして行動の異常を感知した場合、
介護者にその異常を知らせなければならない。

 

23種類ある手の動きを的確に識別し、
寝室にいるか、トイレにいるか、廊下にいるか、
場所と手の動きを特定することで
高齢者の行動を判別することができる。
今薬を飲んでいるのか、今食事しているのか。
今廊下を歩いているのかを瞬時に
特定することができるのだ。

 

どうすれば、今日ある技術を以て、
高齢者の安心な暮らを実現し、
介護者の負担を軽減することができるか。
その難題に対する具体的な解決方法を開発し、
そのサービスを提供しているのが、
前述したエー・アイ・ケアである。

 

センサーとインターネットを使って毎秒、
高齢者の行動データを収集し蓄積する。
人間の学習能力と同じ機能をコンピュータが、
膨大なデータから行動パターンを学習し、
個人差を正確に理解する。そして、瞬時に
インターネットで必要な情報を介護者や医療従事者を送る。

 

こういった個々の高度な技術を一つの機能にすることで、
たとえ人が見えていなくても、高齢者の行動を瞬時に
把握できる。現在もなお、サービス向上のために、
センサー、ＡＩ、ネットワーク、医療といった
各分野の世界的なエキスパートが研究し続けている。

 

CEOであるショーン・タン氏は語る。
「われわれは、技術があるからやるのではなく
、問題があるからやるんだと」と。
ドラッカーはこう言っている。

 

未来において何かを起こすということは、
新しい事業を作り出すということである。
新しい経済、新しい技術、新しい社会についてのビジョンを
事業として実現するということである。

ピーター・ドラッカー

 

 

事業とは社会の問題を解決することである。
社会は常に変わっていく。
社会はこれまでにない新しい問題に直面する。
事業もまた、これまでにない新しいものが出現し
その事業が社会を変えていく。
ショーン・タン氏とフィル・ヤン氏は
まさにその中心にいる。