成功している企業のトップの仕事はチームで行われている。
また、それが成功の原因となっている。
ピーター・ドラッカー
ワンマン経営は必ず崩壊する
2018年11月19日、日産自動車代表
取締役社長の西川さんは記者会見で、
カルロス・ゴーンの件について次のように語った。
「一人の人間に権限が集中しすぎたため、
長年にわたる統治の負の側面が露出した」。
組織上、代表取締役社長という人がいながらも、
その実態は、元会長のゴーンの思うがままだった。
約20年にわたるゴーンの長期政権による結果であった。
1953年、日産自動車の経営陣は
激しい内部紛争に頭を悩ませていた。
その後、業績を回復させた9代目の社長川又克二は
「日産の中興の祖」と言われた。しかし、川又克二もまた
自分一人に権限を集中させ、長年にわたって
組織を支配し、会社を私物化した。
サニーをヒットさせた功労者である石原俊は
11代目の社長に就いた。その後、側近の役員さえも
社長に物を申す事ができない時代が長く続いた。
日産のそのよな醜態はゴーンに始まったものではなかった。
会社を私物化する悪癖が伝統のような文化として
受け継がれてきたものと言える。
米国の大手自動車メーカーのフォード社1920年代、
3分の2のシェアを持っていた。創業者の社長は全ての権限を
一人で持ち続けた。役員はイエスマンでなければならなかった。
事業が衰退していったのは言うまでもない。
20年後には3分の2あったシェアは5分の1まで落ちた。
2代目の社長は、フォードの社運をかけて
事業の再建に取り組んだ。
経営のやり方を根本から変えていった。
自分一人だけに権力が集中することを避け、
何人かの役員に権限を分散させた。
マーケティングは〇〇さん、人材育成は〇〇さん、
といったように独裁制に陥らない組織を作り上げた。
2代目の社長は「先代のワンマン経営」から抜け出し、
「チームによる経営」を構築していった。
再建は見事に成功し、フォードは経営危機から脱した。
フォードが経営危機に陥った原因は
「一人の人間に権力を集中させたワンマン経営」にあり、
再建の成功は「権限を分散させたチーム経営」にあった。
ホンダの創業者の一人である藤沢武夫はこう言った。
「人間の能力はいろいろあって誰しも
オールマイティというわけではなく、
それぞれ得意とするものを持っている。
社長は社長で得意とするものに全力をあげてもらって、
あとのことは心配をかけないようにみんなで分担するんだ。」
ホンダの社風は、底抜けに明るい天衣無縫な
本田宗一郎によるところが大きい。そうかといって
、何でもありの放任主義でもないし、
決まったことさえやっていればいいという官僚主義でもない。
要所要所を固めて企業という組織を形づくっていったのは
藤沢武夫の力だった。ホンダは本田宗一郎あっての魅力であり
藤沢武夫あっての組織だった。
企業の成功が活字になる時は、その成功がまるで
トップ一人の力であるかのように取り上げられる。
しかし、成功している企業のトップは、
必ず誰かの力を借りて成功している。
誰の力も借りることなく一人の力で成功した人など一人もいない。
一代で巨大な事業に発展した企業であっても、
それは一人の人間によって成し遂げられたものではなく、
役割を分担する協働によって成し遂げられたものだ。
ドラッカーはこう言っている。
成功している企業のトップの仕事はチームで行われている。
また、それが成功の原因となっている。
ピーター・ドラッカー
組織は、一人の限界を超えて偉大な仕事を
成し遂げることができる力がある反面、
本来の目的と異なる方向に機能する弱点を持つ。
完璧でない人間の集まりにすぎない組織もまた
完璧ではない。ゆえに、組織には暴走を何かが必要である。
今こそ私たちは、組織運営のあり方を
追究すべき時ではないだろうか。
詳しくは、こちらでお読みになれます
ドラッカーが教える最強の経営チームのつくり方 | 山下 淳一郎
人間関係に関わりなく、トップマネジメントはチームとして機能しなければならない。
ピーター・ドラッカー
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