小企業は 、大企業以上に組織的かつ体系的なマネジメントを
もたなければならない 。確かに大仰な本社スタッフは要らない 。
込み入った手法や手続きも要らない 。そのようなものをもつゆとりはない 。
だが 、高度のマネジメントはもたなければならない。
ピーター・ドラッカー
会社が小さくても高度のマネジメントは必要
組織の機能を壊す伝言
我々幹部は毎日、数時間を共に過ごし、
他の時間はそれぞれ自分のチームと仕事をするという形にすれば、
もっと仕事がスムーズに進むと考えました。
これは、米国グーグルを設立した一人、ラリー・ペイジの言葉です。
数時間を共に過ごすとは、ただ同じ空間にいるということではありません。
上の人間が一堂に会して、情報共有すべきことを情報共有し、
話し合うべきことを話し合い、決めるべきことを決める。
その方が仕事はスムーズに進む、ということです。
ひと言で言えば、
"意思決定する場がなければ組織は機能しない"
ということです。
ある企業でこんなことがありました。
「この件どうすればいいでしょうか?」課長が部長に指示を仰ぎました。
部長は「ぼくじゃわからないから本部長に聞いてみる。」
そう言って、部長は本部長に連絡しました。
話の内容は少し変わった形で本部長に伝わりました。
本部長は「ぼくじゃわからないから専務に聞いてみる。」
そう言って、本部長は専務に連絡しました。
話の内容はさらに変わった形で専務に伝わりました。
専務は「ぼくじゃわからないから社長に聞いてみる。」
そう言って、専務は社長に連絡しました。
話の内容はまったく違う形で社長に伝わりました。
社長は「ぼくじゃわからないから会長に聞いてみる。」
そう言って、社長は会長に連絡しました。ここまでくると、
話の原形はなくなっています。会長に伝えられた内容は、
課長が部長に聞いたものとまったく別なものになっていました。
これが、意思決定を行う場をもたない会社の状態です。
間違った情報に対する正しい指示
会長は、すっかり変わった情報をもとに指示を出します。
会長は社長に、「その件はこうしなさい」と「指示」を出します。
それを受けた社長は「了解しました」と言って、専務に「指示」を伝えます。
それを受けた専務は「了解しました」と言って本部長に「指示」を伝えます。
課長は自分に届いた指示を聞いて、こう言いました。
「私はそんなことを聞いていません。
ところで、例の件はどうすればいいんですか?」
尋ねたことが答えとなって返ってくるのにかかった時間は2週間。
自分のところにやってきたのは的の外れた指示で、現場は困り果てていました。
正しくない情報をもとに出した指示ですから、
たとえ会長の指示とはいえ、現場はそのまま実行することができません。
会長は、自分の指示通り実行していない現場を知ると、
「なぜ私の言った通りにしないんだ!」
と現場を叱り付けました。致し方なく課長は会長に事情を説明すると、
会長は、「私はそんなことは聞いていない!」
課長も、「はい、私もそんなことは申しておりません」
こんなことが日常茶飯事起こっていました。
これは、仕事がスムーズに進んでいないですよね。
マネジメントの動力源は経営チーム
上の人間が一堂に会して、情報共有すべきことを情報共有し、
話し合うべきことを話し合い、決めるべきことを決めなければ、
仕事はスムーズに進みません。意思決定する場がなければ組織は機能しませんし、
では、どうすればいいのでしょうか。
ドラッカーはこう言っています。
小企業は 、大企業以上に組織的かつ体系的なマネジメントをもたなければならない 。
確かに大仰な本社スタッフは要らない 。込み入った手法や手続きも要らない 。
そのようなものをもつゆとりはない 。だが 、高度のマネジメントはもたなければならない。
ピーター・ドラッカー
組織的とは「ばらばらでなく」、ということであり、
体系的とは「思い付きではなく」ということです。
組織が小さければ小さいほどマネジメントはシンプルで済みますし、
組織が大きければ大きいほどマネジメントは複雑になります。
組織の大きさに関わらず、そこに人間がいる以上、マネジメントは必要です。
グーグルを作ったラリー・ペイジの教訓とは「意思決定の場をもつ」ということです。
マネジメントの動力源は、経営チームです。経営チームが一堂に会して、
情報共有すべきことを情報共有し、話し合うべきことを話し合い、
決めるべきことを決める。そうしなければ、仕事はスムーズに進みません。
経営チームをつくり、経営チームが集まって、
決めるべきことを決めるという「意思決定の場をもつ」ようにしていきましょう。
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