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ドラッカーの名言

東証一部上場企業様を中心に経営チームの支援をを行っています。


お互いの理解に責任を持つ

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組織はもはや権力によっては成立しない。信頼によって成立する。
信頼とは好き嫌いではない。信じ合うことである。そのためには、
たがいに理解しなければならない。たがいの関係について、
たがいに責任をもたなければならない。

ピーター・ドラッカー

 

たがいに理解しなければならない

 

 

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反対方向に進む努力

社長は、自分のエネルギーを会社の推進力に変えるために、
日々格闘している。やっつけてもやってつけも
次から次へと生まれる問題に追われ、
急ぎの仕事に対応する毎日が続く。

 

社長は結論の出ない議論が我慢ならない。
一秒でも早く結論を出したい。議論に埒が明かないと見るや、
即断し、命令を下す。それでも、社長の決定は誰にも止めらない。
短い時間で結論を出せばその時は話が早い。
しかし、社長が何から何まで決定を下すことによって、
組織は重要なことについて話し合うということから遠のいていく。

 

社長と取締役が話し合い、わが社はどうあるべきかを
はっきりさせなければどうなるのだろうか。
ドラッカーはこう言っている。

 

トップマネジメントが、この問いについて徹底的に検討を行い、
答えを出しておかなければ、上から下にいたるあらゆる階層の者が、
それぞれ相異なる両立不能な矛盾した事業の定義に従って決定を行い、行動することになる。
互いの違いに気付くことなく、反対方向に向かって努力を続ける。
あるいは揃って間違った定義に従い、間違った決定を行い、間違った行動をする。
ピーター・ドラッカー

 

 

社長と取締役が徹底的に話し合い、「これでいこう」
という考えをはっきりさせなければ、
お互いの考えの違いに気が付かないまま、
それぞれが異なる物差しで仕事をあたることになる。

 

部下は消化不良の考えを頭の中に保存しながら、
帳尻合わせの行動をすることになる。
目に見えない問題は取り上げられず、
目に見える問題に振り回される。

 

重要なことを曖昧にしておけば事業は迷走する。
潮の流れに飲み込まれ、事業は成長する力を失い、
やがて事業の低迷が現実になることを許してしまう。
努力は嘘をつかないという。
それは、反対方向に向かって努力をすれば、
反対方向に進むということだ、

 

考えの違いが明るみになる私は以前、
ある会社で社長の了解を得て、経営チームを編成した。
最終決定者はもちろん社長だが、
私は経営チームのリーダー役をさせてもらった。

 

その時のメンバーは多種多様だった。
コンサルティング会社出身で戦略を担当する者、
PR会社にいたマーケティング担当者、
デザインを担当する製作者、
システム開発をやってきた技術者、
セールスの分野で活躍してきた営業マン、
経営企画部で仕事をしてきたゼネラリスト、
といった面々だった。

 

そのメンバーは、政府機関に例えるならば
内閣を構成する大臣のようなものだ。
それら各大臣の下に、開発本部、営業本部、
管理本部といった部署を編成し、
各本部に責任者を配置して事業を運営していた。

 

「うちの会社のビジョンが見えない」
「うちの会社の事業はなんなんだ」、
そんな不満が社員から出て来ることだけは、
なんとしても避けたかった。
それは経営者として一番情けないことだからだ。

 

経営チームのメンバーは、それぞれ強烈な個性を持ち、
一筋縄ではいかない人間ばかりだったが
全員、人格、能力、協調性を備えていた。
ところが、いざ「われわれの事業はどうあるべきか」
ということにつぃて話し合うと、面倒なことが起こった。
ドラッカーはこう言っている。

 

この問いは、トップマネジメントのメンバー間に考えの違いが
あることを必ず明るみに出す。長年ともに働き、考えを知っていると
思っていた者たちが、突然、きわめて基本的なことで
考えが異なることを知って愕然とさせられる。
ピーター・ドラッカー

 

 

経営チームでドラッカー5つの質問を
数年かけて取り組んだ。お互い考えを知っていると
思っていたが、それぞれ経験してきた分野と
職種が違うがゆえに、物の考え方がまったく違ったのだ。

 

経営チームのメンバー間に
考えの違いがあることが明るみになった。
社長は頭がよく、人に対する配慮にも長けていた。

 

言っている内容は教養と品位に溢れていたが
口調は荒っぽかった。それぞれの考えの違いに社長が
「俺はそんなことを言ってきた覚えはないぞ!」
「何年俺と一緒に仕事をしてきたんだ!」と、
腹を立てた場面に何回も遭遇した。

 

きわめて基本的なことで考えが
異なることを知って愕然とした。
ドラッカーの言う通りだった。

 

共通の考えをつくる

ほとんどの社長が、経営チームのメンバー全員が
自分と同じ考えでいることを当然のことのように思う。
自分の考えと違うことが許せない。
社長は自分と異なる部下の意見に対して
「〇〇に決まっているだろう」と
性急に結論付けてしまう。

 

部下にしてみれば、社長が結論を言った以上、何も言えない。
部下は心の中で「〇〇の方がいいと思うけどな」と思いながら、
社長には「おっしゃるとおりです」と同調する。

 

役職の上下関係がそうさせる。
意思の疎通を壊してしまうのはたいてい社長だ。
こうして何から何まで社長が決めることが
当たり前になり、会社は社長の指示命令だけの世界となる。
本当に、それでいいのだろうか。
ドラッカーはこう言っている。

 

ほとんどのマネジメントが、この対立を苦痛として回避しようとする。
だが、「われわれの事業は何か」に答えることこそ、
本当の意思決定である。しかも、意味ある有効な意思決定とは、
多様な見解を基礎としてなされるものである。
ピーター・ドラッカー

 

 

ほとんどの役員が、意見の衝突を避ける。
当然だ。考えを否定し合うのは気持ちのいいものではないからだ。
また、意見の食い違いは時として、人格否定をし合うかのような
誤解に発展してしまうこともある。

 

しかし、社長と取締役は正面衝突を避けてはいけない。
いろいろな角度から考え、異なる意見を
戦わせることによってはじめてより良い決定ができるからだ。

 

伸び悩む会社は意見の食い違いで問題が生れる。
伸びている会社は意見の食い違いで成果が生れる。
幸い私がリーダー役を務めていた頃の経営チームは、
意見の食い違いで成果をあげることができた。

 

それは、当時の社長が「安易な同意」を排除し、
「真摯な対立」を奨励してくれたお陰だ。
そして経営チームのメンバーが、
価値ある対立から逃げなかったお陰だ。

 

その時の経営チームはけっして仲が良いいとはいえなかったが、
力を合せて仕事にあたることについては
全員がプロフェッショナルだった。
ドラッカーはこう言っている。

 

組織はもはや権力によっては成立しない。信頼によって成立する。
信頼とは好き嫌いではない。信じ合うことである。そのためには、
たがいに理解しなければならない。たがいの関係について、
たがいに責任をもたなければならない。
ピーター・ドラッカー

 

 

当時、私をはじめ経営チームのメンバーは、
ドラッカーのそんな言葉は知らなかった。
しかし、経営チームのメンバーは、
お互いの理解に責任を持つことが仕事だと弁えていた。

 

経営チームの一人ひとりが、
言葉巧みに茶を濁すようなことせず、
常に正面切って話し合った。だからこそ個々の総和以上の
総和をつくり出すことができた。

 

全員が仕事の向こうにある成果の喜びを知っていた。
だからこそ、目の前の問題に埋没しなかった。
そして共に成果を喜び合えた。
それが仕事を楽しくさせた。

ドラッカー5つの質問』(著者:山下淳一郎 出版社:あさ出版)より)

 

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詳しくは、こちらでお読みになれます

ドラッカー5つの質問
著 者 :山下 淳一郎
出版社 :あさ出版 1,300円(税別)

 

 

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