草創期の企業は一人の人間の延長である。
しかし、一人のトップマネジメントからトップマネジメントチーム
への移行がなければ、企業は成長どころか存続もできない。
成功している企業のトップの仕事は、チームで行われている。
ピーター・ドラッカー
社風と文化の違いが、
その後の成長を決定付けた
経営チームをつくって成長してきた企業
今日は「である調」で書かせていただきますね。
経営チームをつくって成長してきた企業は、
「経営チームを絶対つくる」という強い決意をもって
経営チームをつくったわけではない。
たまたま経営チームができたのだ。
なぜ、たまたま経営チームができるに至ったのか。
経営チームをつくって成長してきた企業の歩みは次のとおりだ。
経営チームをつくって成長してきた企業は創業時、
数名で経営の仕事にあたっていた。
社長を中心とする数名の創業メンバーは、
力を合わせて、ゼロから事業を起ち上げた。
寝食を共にしながら、なんとか事業を軌道に乗せようと
来る日も来る日も汗をかきながら、
必死に仕事にあたってきた。
創業時は組織といえる組織になっていない。
創業メンバーは、トップに対して上下関係を弁えながらも、
仕事上はかなり対等な立場で話ができる環境にある。
社長を中心とするその数名のメンバーは、
頻繁に集まっては、情報共有すべき事をリアルタイムで情報共有し、
意思決定すべき事をリアルタイムで意思決定する習慣が生まれた。
誰か一人が、トップに報告するのであれば、
トップの空いている時間を見つけては
トップに会って話をすればいいだけだ。
しかし、数名で集まるとなるとそうはいかない。
それぞれが自分の仕事で忙しい。だから、予め日時を決めておかないと、
全員が集まることはできない。いつの間にか週1回の頻度で
ミーティングを行うことが定着していった。
そんな風土で仕事にあたってきた数名のメンバーは、
経営チームという言葉さえ知らないまま、
気が付いた時には既に経営をチームで行う状態がつくられ、
自然発生的に経営チームが出来上がるに至った。
こうして、経営チームをもつに至った企業は、
話し合うことや意思決定に慣れており、
責任をもって物事を自分で決めることのできる人材が
多く育っていった。
「上に決めてもらうために指示を持つ」
ということが少ないため、後手に回ることなく、
問題解決に埋没することもない。
経営チームをつくって成長してきた企業は、
トップを中心とした数名の話し合いで物事を進める
という方法が根付いているため、認識の共有、意思決定については、
決め事がある程度整っている。
この習慣が、「人材の輩出」、「事業の発展」、
「高い収益性」を生み出している。
一方、経営チームをつくらずに成長してきた企業は
どうなのだろうか。
経営チームをつくらずに成長してきた企業
経営チームをつくらずに成長してきた企業は、
「経営チームは絶対つくらない」という決意をもって
経営チームをつくらなかったわけではない。
たまたま経営チームをつくらなかっただけだ。
なぜ、経営チームがつくらずにそこまで成長してきたのか。
経営チームをつくらずに成長してきた企業は、
重要なことはすべてトップ一人が決め、
トップが決めたことを幹部に伝えるというやり方をしてきた。
「自分で考えて動く姿勢」よりも「上の言う通りに動く姿勢」が
重要視される。そのため、たとえ高い能力をもつ幹部であっても、
重い責任を持たされた経験は多くなく、
辛い決断を迫られる局面に立たされる経験も多くない。
組織は成熟し、トップに対して過剰な気遣いがあり、
たとえ仕事上のことであっても
対等な立場で話ができる環境にない。
トップは強い責任感から、一人ですべてを把握することを
自分の仕事としてきた。そんなな仕事のやり方から、
数名の役員で頻繁に集まっては情報共有する、
というやり方を必要としない。
誰か一人が、トップの空いている時間を見つけては、
トップに会って話をすれば済んでしまう。
経営チームをつくらずに成長してきた企業は、
トップ一人が会社の将来を見据えて、トップ一人が組織全体を見渡し、
トップ一人で重要な意思決定をすべて行ってきた。
そんな風土で仕事にあたってきたため、
経営チームが必要になる局面に遭遇することすらなく、
経営チームが生まれるということには至らなかった。
こうして経営チームをつくらずに成長してきた企業は、
報告することに慣れていても、話し合いや意思決定には慣れていない。
責任をもって物事を自分で決めることのできる人材を輩出されない。
たとえ高い職位にある幹部であっても、
「社長、どうすればいいですか?」
「社長、あの件は進めていいですか?」
と逐一指示を仰ぎ、上に決めてもらうことが
当たり前になっている。
常に上からの指示を待つため、後手に回り、
問題解決に引きずり込まれまる傾向にある。
事業の成長がトップ一人で仕切れる限界を超え、
いつか事業の成長がつくり出す重荷に耐えることで精一杯になる。
やがて「人材の不足」、「事業の停滞」、
「収益性の低下」という深刻な問題に直面する。
以上が、経営チームがある会社とない会社の違いだ。
ドラッカーはこう言っている。
草創期の企業は一人の人間の延長である。
しかし、一人のトップマネジメントからトップマネジメントチーム
への移行がなければ、企業は成長どころか存続もできない。
成功している企業のトップの仕事は、チームで行われている。
ピーター・ドラッカー
起業と経営は違う。起業とは事業を起ち上げることであり、
経営とは事業を運営することである。
事業を起ち上げることは一人でできても、
事業の運営は一人ではできない。
知識を身に付けること簡単だ。能力を高めることも簡単だ。
しかし、働き方を変えることは難しいです。
今の働き方は長年培った習慣だからだ。
「経営チームをつくる」ということは、
経営チームそのものをつくって終わりではなく、
「役員全員の働き方を根本から変える」大がかりな仕事なのだ。
詳しくは、こちらでお読みになれます
ドラッカーが教える最強の経営チームのつくり方 | 山下 淳一郎
人間関係に関わりなく、トップマネジメントはチームとして機能しなければならない。
ピーター・ドラッカー
ドラッカーの話を聞きたい社長様へ
基本と原則に反する者は例外なく破綻する。
ピーター・ドラッカー
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