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ドラッカーの名言

東証一部上場企業様を中心に経営チームの支援をを行っています。


部下に成果をあげてもらうために

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成果をあげるための秘訣を一つだけ挙げるならば、
それは集中である。集中とは、「真に意味あることは何か」、
「最も重要なことは何か」という観点から時間と仕事について
自ら意思決定をする勇気のことである。

ピーター・ドラッカー

 

成果をあげるために最初に行うこと

 

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上司の意思と部下の解釈の相違

部下に指示ことと部下がやっていることが違う。
部下をもつ上司なら、誰もがそんな経験をしたことがあると思う。
もちろん部下は、上司の指示を無視しようなどと思って
上司の指示と違うことをやろうとしているのではない。
そこには、上司と部下の間に、なんらかの認識の相違が起こっている。

 

ある企業でこんなことがあった。
上司は41歳。その業界一筋の人間で、
その分野についてはベテランだった。

 

研究職という職種のせいか、
はじめて部下を持たされたのは39歳の頃だった。
部下をもってから2年目で、一人の上司として
はまだベテランとは言えなかった。


彼の下に配属されたのは、院卒の新人で社会人一年生だった。
部下は心あらたにこの仕事に全力を尽くそうと決意していた

 

ある日、上司は部下に指示をした。
「例の件、来週の金曜日までに考えておいて」
部下は答えた。「はい。わかりました。」

 

上司が言いたかったことを要約するとこうだった。
「来週の金曜日までに、例の件について、
簡単な企画概要書のようなものをA4ペラ一枚でいいので、
自分のところに持ってきたほしい。

 

その部下は解釈はこうだった。
「来週の金曜日以降に、
ミーティングか何か行うのだろう。

そのために、頭の中でいろいろな思案をまとめていけばいい。」
資料を作成して、提出しなければならないとは、
ゆめゆめ思っていなかった。その部下は、事実、資料作成することも、
資料を提出することも、指示されていない。
金曜日という期日があるだけだった。

 

部下の仕事にイラ立つ上司

数日が過ぎ、上司は自分の指示が部下に
伝わっていないことに気が付いた。
そこで、指示をあらためて言い直した。
その指示はこうだった。

 

「例の企画、来週の金曜日まで
企画書を持ってきてほしい」上司は、その企画書をもとに、
打合せを重ねながら、数回 
ブラッシュアップしていこうと考えていた。

 

企画書の提出までは部下に伝わった。
しかし、打合せを重ねながら、
数回ブラッシュアップしていこうという
上司の考えは部下に伝わっていなかった。


部下の解釈は「来週の金曜日まで企画書を提出すること」
だけだった。部下の解釈はけっして間違っていなかった。
その部下は、前記の通り、優秀とはいえ、社会人一年生だ。

 

院生時代、企画書といえば、ボリュームは30ページほどで
完成度の高いものだった。
上司が頭に描いていたものはA4ペラ一枚で書かれたラフ案。
しかし、部下がつくろうとしていた資料は、
ボリュームは30ページほどで完成形に近いものだった。

 

当日の金曜日の朝。企画書の提出はまだだった。
上司は、金曜の朝に持ってきてほしかった。
部下は、金曜中に提出すればいいと思っていた。
部下は、午前中、そして、午後と、必死になって
何十枚もの企画書の完成に全力をあげていた。
上司は自分のイライラに限界に達していた。
「A4ペラ一枚に書くラフ案に何時間かかっているんだ」と。

 

唖然とする上司に憤慨する部下

 当日の金曜日の夕刻4時過ぎ。
部下は企画書を上司に持っていった。
上司は既に、A4ペラ一枚を持ってくるものだと思い込んでいる。
しかし、部下が手に持っているのは何十ページもある企画書だった。
「お前、何時間それにかけるんだ・・・」
上司はつい言ってしまった。もちろん悪気はなかった。

 

部下は心の中でこう呟いていた。
「必死につくった書類に対して、内容すら見てないのに
その言い方はないのではないか!」その呟きはこう続いた。
「もう、”この上司に応えよう”とは思えない。
仕方ないから、適当にうまくやるかぁ」「全力でやる」と
決意していた部下の心が「適当にうまくやるかぁ」
に変わった瞬間だった。

 

成果をあげる人に必要なのは、「成果をあげる力」ではなく、
「生産性」である。より少ないインプットで、
より多いアウトプットが得られるほど生産性が高く、
より多くのインプットでより少ないアウトプットしか
得られないと生産性が低いと言える。
この上司とこの部下は、成果をあげる力を持ちながらも、
極めて生産性の低い2人だった。

 

部下に成果をあげさせるために(小見出し)

 

以上のようなことは、
あなたも経験があるのでないだろうか。
上司として、部下の生産性を向上させるために
最初に行えばいいのだろうか。
ドラッカーはこう言っている。

 

知識労働の生産性向上のために最初に行うことは、
行うべき仕事の内容を明らかにし、その仕事に集中し、
他のことはすべて、あるいは少なくとも可能な限り無くすことである。
そのためには知識労働者自身が、仕事が何であり、
何でなければならないかを知らなければならない。
ピーター・ドラッカー


 

知識労働とは、知識や情報を使って価値を創り出す仕事のことだ。
200年前は、仕事と言えばほとんどが力仕事だった。
力仕事は、予定通り進んでいるのか、予定より進んでいるか、
予定より遅れているか、目で見て確認することができた。
予定より遅れていれば、「もっと急げ!」と指示することができた。

 

ところが、今日の仕事のほとんどがそうはいかない。
知識や情報を使う仕事は、肉眼で進捗を確認することができない。
ましては、部下は上司が何を考えているか。
上司は部下が何を考えているか。どちらかがどちらかに、
聞かなければわからないし、知らされなければわからない。

 

大事なことは、仕事をする本人が
「自分の仕事は何か」を理解しなければならない、
ということだ。言われた通りに体を動かせばいい時代は既に終わった。
部下は、上司の指示に対して、その真意を問わなければならない。
同時に、上司は、部下にその真意を問うことをさせなければならないのだ。

 

何に集中するかを決める

ある目的のために各部署の代表者が集まり
横串のチームで進める仕事をプロジェクトと呼ぶ。
プロジェクトの進め方について、
大きく分けて2つのタイプの組織がある。

 

1つは、重要なプロジェクトを1つに絞って取り組む。
そのプロジェクトで成果をあげてから次のプロジェクトに進んでいく。
より少ないインプットでより多くの成果をあげる。
つまり、生産性が高い。もう1つは、一度に多くのプロジェクトに
手を付ける組織だ。より多くのインプットでわずかの成果もあがらない。
生産性が極めて低い。

 

後者は、「プロジェクトで成果をあげること」より
「プロジェクトをこなすこと」が仕事になっていく。
何が重要かは誰もわからないし、成果もあがらない。
成果をあげるための秘訣を一つだけ挙げるならば、それは何だろうか。
ドラッカーはこう言っている。

 

成果をあげるための秘訣を一つだけ挙げるならば、
それは集中である。集中とは、「真に意味あることは何か」、
「最も重要なことは何か」という観点から時間と仕事について
自ら意思決定をする勇気のことである。
ピーター・ドラッカー

 

一度に多くのことに手を出していては、
成果があがらなくて当然だ。一度に、2つも、3つも
異なる仕事を同時に進めることはできない。
一度に一つのことをうまくできればいい方だ。
ただこなすのではなく、自ら進んで一番重要な仕事は何かを
決めなければならない。上司は、部下に成果をあげてもらうためも、
部下に自ら意思決定をする余地を与えなければならないのだ。

 

 

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