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ドラッカーの名言

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上司に求められるリーダーシップ

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そもそもリーダーシップそれ自体、よいものでも望ましいものでもない。
手段にすぎない。何のためのリーダーシップかが問題である。

ピーター・ドラッカー

 

リーダーシップとは仕事

 

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重要なことは何のためのリーダーシップか

 

上司に必要な能力は何か。結論から言ってしまえば、
リーダーシップの一言に尽きる。
しかし、ドラッカーが言うリーダーシップは、
巷で語られているリーダーシップとは違う。
ドラッカーはこう言っている。

 

そもそもリーダーシップそれ自体、よいものでも望ましいものでもない。
手段にすぎない。何のためのリーダーシップかが問題である。
ピーター・ドラッカー

 

リーダーシップそのものが目的でもなければ、
リーダーシップは良いものでも悪いものでもなく、
大事なことは、何のためのリーダーシップか、ということだ。

 

ソビエト連邦のスターリンは
自分の考えに賛同しない人たちを処刑した。
ドイツの独裁者ヒトラーは
約600万人もの罪なき人たちの尊い命を奪った。
そして、中国の毛沢東は政争において
約4000万人を殺害したと言われている。

 


この3人は、卓越したリーダーシップをもって、
史上類を見ない悪夢を世にもたらした。前記した通り、
リーダーシップは良いものでも悪いものでもない。
何のためのリーダーシップかが問題なのだ。だから、
リーダーは、使命を追究しなければならない。

 

なくてはならないものとあってはならないもの

リーダーシップを発揮するために、
なくてはならないものが「真摯さ」だ。
あってはならないものが「カリスマ性」だ。

 

補足したい。言葉は、時代によって
その意味や使い方が変わっていく。
今日カリスマとは「その分野で際立って輝いている人」
という意味として使われているが、

 

以前は、独裁性、支配欲という
意味を持つものとして使われていた。
ドラッカーがいうリーダーシップを噛み砕いて言えば、
なくてはならないものが「人格」で、
あってはならないものが「独裁性」だ。

 

ドラッカーは、リーダーシップとは仕事だという。
「好かれたり、尊敬されたりすること」ではなく、
「部下に正しいことをさせること」、
それが上司の仕事である。

 

「あれやこれやと指示をすること」ではなく、
「どしどし権限委譲すること」、
それがリーダーの役目である。

 

リーダーとは、リードする人だ。
リーダーに必要なのは、
「人と組織を価値ある方向へリードする力」である。
では、「人と組織を価値ある方向へリードする力」
とはいったい何か。

 

具体的な振る舞いという視点から、
上司に求められるリーダーシップについて
さらに考えを深めていきたい。

 

人のいうことを聞く意欲、能力、姿勢

リーダーに必要な能力とは何だろうか。

ドラッカーはこう言っている。

 

第一が、人のいうことを聞く意欲、能力、姿勢である。
聞くことは、スキルではなく姿勢である。誰にもできる。
そのために必要なことは、自らの口を閉ざすことだけである。
ピーター・ドラッカー

 

サウスウエスト航空の創業者、
ハーブ・ケレハーの言葉を紹介したい。
「私にいちばん影響を与えたのは母だろう。
ありきたりの答えかもしれないが、
うちの家族は第二次世界大戦が
はじまって崩壊してしまったのだ。

 

最初は6人家族だったのが、
最後には私と母の二人だけになってしまった。
母から学んだことは本当にたくさんある。
中でも特に心に残っているのは、
相手の地位や役職に関係なく、
ありのままの人間として信頼し、
尊敬しなければならないというアドバイスだ。

 

地位や役職は、その人の本当の価値と
は関係ないことが多い。
私はそれを、すぐに実感することになる。
私たちの住む町に、ある金融機関を
経営する一人の紳士がいた。
いつも非の打ち所のない服装で、
とても高潔な人物という印象を与える。

 

しかし彼は、横領の罪で起訴され、
有罪が確定し、牢屋に入った。
私は母の教えを守り、ビジネスの世界でも、
表面的な基準で人を判断しないよう努めている。
偏見を持たずに人と接している。
私は人々のアイデアにとても興味がある。

 

そして、アイデアを持つのに博士号は必要ない。
心をひらいて人の話を聞かなければならない。
単なる従業員ではなく、
人間として気にかけていることを、
身をもって示さなければならない。

 

誰かと話していても、
他にもっと重要人物がいないかと、
いつもきょろきょろしている人がいるだろう。
私自身は、誰かと話をするときは、
世界にその人しかいないと考える。
それが相手への義務だ。

 

それに、たいていの人はとても興味深い。
サウスウエストの従業員たちと一緒にいるのは、
私の仕事でもっとも見返りが大きく、
わくわくできる部分だ。」

 

ハーブ・ケレハーは、人のいうことを
聞く意欲、能力、姿勢に長けた人物だった。

 

自らの考えを理解してもらう意欲

 

第二が、コミュニケーションの意欲、
つまり自らの考えを理解してもらう意欲である。
そのためには大変な忍耐を要する。
ピーター・ドラッカー

 

会社は人の集まりだ。
ゆえに、仕事の9割は人間関係と言っていい。
コミュニケーション能力の重要性は言うまでもない。
対人関係の能力を高めれば、
いい人間関係をつくれるのでしょうか。
ドラッカーはこう言っている。

 

対人関係の能力をもつことによって良い人間関係がもてるわけではない。
自らの仕事や他との関係において、貢献に焦点を合わせることによって
よい人間関係がもてる。
ピーター・ドラッカー

 

コミュニケーション能力が高いからといって、
良い人間関係が築けるわけではないとうことだ。
共通目的に向かって力を合せようとするからこそ、
よい人間関係がつくれるのだ。

 

人の上に立つ人のつとめ

「超越した存在でなければならず、
好き嫌いどころか、仕事のやり方さえ気にしてはならない。
唯一の規律は成果と人物である。交友とは両立しない。
社内に友人をもち、仕事以外の話をするのでは公正たりえない。

 

少なくとも公正には思われない。害のあることに変わりない。
もちろん孤独、距離、形式が性に合わない者もいる。
私もそうだった。しかし、それがつとめだった。」

 

そう言ったのは、米国の大手自動車メーカー、
ゼネラルモーターズの元CEOアルフレッド・スローンだ。
スローンは、「特定の人とだけ飲みに行くというのは論外だ。」
と言っていた。

 

彼はトップとして、どの幹部の誰からも同じ距離を置いていた。
トップが、特定の幹部、特定の社員とだけ、
親しくしたりすれば、そこで働く人たちの
意欲を保つことはできないと彼は考えていたからだ。

 

すべての人に公平に接するだけで、
働く人の意欲を保つことができる。
それは、非人間的であれ、ということではない。
それは、人の上に立つ人のつとめである。

 

言い訳をしない
第三が、言い訳をしないことである。
「自分が間違った」と言えなければならない。
ピーター・ドラッカー

 

「たしかに、人件費はコストです。
しかし、社員を単なるコストの対象としか見ない経営者は、
経営者として失格だと思います。経営学の大家と呼ばれる
ピーター・ドラッカーは、
人件費がコストであることは間違いない、

 

しかし人は材料ではなく、財産だ、と言っています。
“人材”ではなく“人財”なのです。」こう語ったのは、
観光バスで知られる、株式会社はとバスの元社長、
宮端清次さんだ。

 

当時、はとバスは70億円もの借金があり、
しかも4年連続で赤字が続き、倒産寸前の状態でした。
宮端さんは、はとバスの経営を立て直するために、
同社の筆頭株主である東京都庁から天下って、
社長となった。

 

はとバスの年間の人件費は55億円。
社員1割の賃金カットを行うと、おおまかに言えば、
約5億5000万円を削減ができます。
「社員の賃金カットなんて一番やりたくない。
しかし、このままでは、本当に会社は潰れてしまう…」、

 

そう思った宮端さんは、断腸の想いで、
社員に協力を求めた。
多くの社員から理解を得ることができたものの、
一人だけ宮端さんに抗議する人がいた。
それは入社して20年以上経つ、
ベテランの運転手さんだった。

 

「私たち従業員は何十年も、
経営者の方針どおり、懸命に働いてきた。
なのに赤字、しかもそれを4年間も放っておいて、
二進も三進もいかなくなったからといって、
そのツケを従業員にまわし、一方的に賃金カットを
押し付けることは何事ですか?
あなたの経営者責任は何ですか?」

 

宮端さんは最近社長になったばかり。
4年も赤字を放っておいたのは、
前任の社長であって宮端さんではありません。
しかし、宮端さんは、椅子から立ち上がり、
こう言って頭を下げました。

 

「申し訳ない。心からお詫びをする。
皆さんをもう二度とこんなに辛く、
悲しい気持ちにさせないと約束する。
だから、今回は、はとバスのために
一緒に頑張ってくれませんせんか。」

 

宮端さんにしてみれば、
「赤字をつくったのは私じゃないよ。
前任の社長だよ」という想いがあったかもしれない。
しかし、宮端さんは、そんな言い訳を一切口にすることなく、
ただただ従業員に頭を下げた。言い訳をしない─。
これが、リーダーに求められる能力だ。

 

自分を仕事の下におく
第四が、仕事の重要性に比べて、
自分などとるに足りないことを認識することである。
リーダーたる者は自らを仕事の下におかなければならない。
これまた当たり前のことである。
ピーター・ドラッカー

 

仕事の重要性に比べて、
自分などとるに足りないことを認識するとは、
お客様のことだけを考えるということだ。
病院に例えれば、患者さんにとって良いことだけを
考えるということだ。ドラッカーはある病院で
実際にあったことを次のように紹介している。

 

会議で十分に話し合った結果、
あることが決まりそうになると、
“それは患者さんにとって一番良いことか”
と必ず聞く看護師さんがいた。
その看護師さんが看護する病棟の
患者さんの回復は早かった。

 

その看護師さんが引退してもなお、
「それは患者さんにとって一番良いことか」
と言う基準で、物事を考えることが
当たり前になっている。

 

会議で何かを決めるときに、
“それはお客様にとって一番良いことか”と
必ず問う企業がどれだけあるだろうか。
常に、自分たちの事情に引っ張られ、
内側のもめごとに関心が向いていないだろうか。

 

使命感に立つ

「大津波警報が発令されました! 
高台に避難してくださーい」

その日、何度も何度も、
そう叫ぶ防災無線の叫び声が、
大勢の命を救った。その声の主は、
防災対策庁危機管理課の
職員である遠藤未希さんだ。

 

3月11日午後2時46分、
宮城県南三陸町の防災対策庁の
2階にある放送室に駆け込み、
防災無線のマイクを握った。
恐ろしい勢いで近づいてくる津波は、
遠藤さんがいる庁舎にも、
容赦なく迫ってきた。

 

大勢の人は、波の大きさと勢いを見て、
震え上がった。
しかし、遠藤さんは怯むことなく、
「一人の犠牲者も出してなるものか」
との強い使命感に立ち、
最後の最後まで叫び続けた。

 

「逃げてくださーい」
「6メートルの津波が予想されます」
「逃げてくださーい」
「異常な潮を引き方です」
「早く逃げてくださーい」
津波のあと、
屋上で10人の生存者が発見された。

 

しかし、そこに遠藤さんの姿はなかった。
その地域には、約1万7700人の
住民が住んでいた。その半数近くが
遠藤さんのお陰で避難することができた。
遠藤さんは、果たすべき職責を全うした。

 

遠藤さんに感謝し、遠藤さんの
お仕事に対する姿勢を学びつつ、
自分自身も遠藤さんのように、
「仕事の重要性に比べて、
自分などとるに足りないことを認識し、
自らを仕事の下におくことのできる
人間でありたい」と思う。
遠藤さんのご冥福を祈りつつ。

合掌

 

上司が示すリーダーシップ

起業する人が圧倒的に増えたとはいえ、
いまだビジネスパーソンの大多数が
企業の一人として仕事をしている。

 

企業とは評価の世界である。
評価の世界の中にあって人は、
保身に走る。誰もが生活がかかっている。
保身になって当然だ。

 

しかし、自分を仕事の下におき、
仕事の重要性に比べて自分など
とるに足りないことを認識し、
使命感と信念をもって仕事にあたる
私たちであり続けたい。

 

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詳しくは、こちらでお読みになれます

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明日のマネジメントを担うべき人材を今日準備しなければならない。

ピーター・ドラッカー

 

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