真摯さは習得できない。仕事についたときにもっていなければ、
あとで身につけることはできない。真摯さはごまかしがきかない。
一緒に働けば、その者が真摯であるかどうかは数週間でわかる。
ピーター・ドラッカー
スキルの前に真摯さ
真摯さは習得できない。仕事についたときに
もっていなければ、 あとで身につけることはできない。
真摯さはごまかしがきかない。一緒に働けば、
その者が真摯であるかどうかは数週間でわかる。
部下たちは、無能、無知、頼りなさ、
無作法など、 ほとんどのことは許す。
しかし、真摯さの欠如だけは許さない。
そして、そのような者を選ぶマネジメントを許さない。
真摯さは定義が難しい。しかし、マネジメントの仕事に
就くことを不適格にするような真摯さの欠如は、
定義が難しいということはない。
第一に、人の強みではなく、弱みに焦点を合わせる者を
マネジメントの地位につけてはならない。
人のできることは何も見ず、できないことは
すべて正確に知っているという者は組織の文化を損なう。
もちろん経営管理者たる者は、
部下の限界を明確に把握している必要がある。
しかしあくまでも、それらの限界は、
彼らができることの限界として、
あるいは、その改善に挑戦すべき限界として見る必要がある。
経営管理者は現実的でなければならない。
しかるに、冷笑家ほど現実的ではない者はいない。
第二に、「何が正しいか」よりも
「誰が正しいか」に関心をもつ者を、
経営管理者に昇進させてはならない。
仕事の要求よりも人間を問題にすることは、堕落である。
そして一層堕落を招く。「誰が正しいか」を
問題にするならば、部下は、策は弄しないまでも保身に走る。
さらには、間違いを犯した時、対策を講ずるのではなく、隠そうとする。
第三に、人格よりも頭脳を重視するものを
経営管理者に昇進させてはならない。
そのような人間は未熟だからである。
第四に、有能な部下を恐れる者を経営管理者に
昇進させてはならない。そのような人間は弱いからである。
第五に、自らの仕事に高い基準を定めない者も
経営管理者に昇進させてはならない。
仕事やマネジメントの能力に対する侮りの風潮を招く。