会社の明日を左右するもの、
それは幹部の人選です。
1.人の強みよりも弱みに目がいく者
第一に、人の強みではなく、弱みに焦点を合わせる者を
マネジメントの地位につけてはならない。人のできることは何も見ず、
できないことはすべて正確に知っているという者は、組織の文化を損なう。
上司の役割は、組織を通じて成果をあげることです。
そのためには、部下一人ひとりの力を最大限に活かさなくてはなりません。
したがって、部下を持つ人間が知っておかなければならないことは、
部下のできないことではなく、部下ができることです。
部下のできないことに焦点を合わせてしまえば、
組織を通じて成果をあげることができなくなってしまうだけでなく、
人のできないことばかりあげつらう組織になってしまいます。
だから、人の弱みに目がいくような人間を責任ある立場に置いてはならないのです。
2.何が正しいかよりも、誰が正しいかに関心を持つ者
第二に、『何が正しいか』よりも『誰が正しいか』に関心をもつ者を、
昇進させてはならない。仕事の要求よりも人間を問題にすることは、堕落である。
そして一層堕落を招く。『誰が正しいか』を問題にするならば、
部下は、策は弄しないまでも保身に走る。さらには、間違いを犯した時、
対策を講ずるのではなく、隠そうとする。
仕事は失敗がないように完璧を期すのは当然です。
しかし、人間である以上、失敗をゼロにすることはできません。失敗が起こったときに、
失敗の原因をその人だけに求め、その人の評価を下げるようなことをしてしまえば、
挑戦しない組織になってしまいます。誰もが過剰に失敗を警戒するようになるからです。
たとえ、何か間違いをしても、自分ができる範囲内でなんとかしようとします。
閉塞的な風土になり組織は活力を失ってしまいます。
だから、誰が正しいかに関心を持つ人間を責任ある立場に置いてはならないのです。
3.人格よりも頭のよさを重視する者
第三に、人格よりも頭脳を重視する者を昇進させてはならない。
そのような人間は未熟だからである。
組織の責任者は、好かれる必要はありませんが、尊敬を受けることは必要です。
たとえ意見の食い違いがあっても、その意見に人格の発露があれば、
ついていこうと思います。一方、どんなに頭の回転が速く、言葉巧みであっても、
人間性を失った者に力を出すことはできません。得たい結果を手に入れるためには、
手段を選ばないような人間は、人間組織を破壊してしまいます。
だから、頭の良さを重視する者を責任ある立場に置いてはならないのです。
4.有能な部下に脅威を感じる者
第四に、有能な部下を恐れる者を昇進させてはならない。
そのような人間は弱いからである。
有能な部下を恐れるとは、「自分のポジションが脅かされるのではないか?」
という不安に駆られるということです。
権威で仕切られた形式的で柔軟性に欠ける組織であればあるほど、
そのような人の不安をつくり出します。誰もが生活を抱えているがゆえに、
そのような不安があるのも現実です。どんなに優秀でも、
自分本位のエゴに凝り固まってしまえば、社会に貢献していくことはできません。
本当に成果をあげたいと考えている人は、自分よりも優秀な人間が欲しいはずです。
有能な部下に脅威を感じる人は、組織で成果をあげられないばかりでなく、
部下を潰してしまいます。
だから、優秀な部下に恐れを感じる者を責任ある立場に置いてはならないのです。
5.自らの仕事に高い基準を設定しない者
第五に、自らの仕事に高い基準を定めない者も昇進させてはならない。
仕事やマネジメントの能力に対する侮りの風潮を招く。
「この程度でいいだろう」などという人間に仕事は任せられません。
事業を底上げしていくためにも、仕事の基準は高く置かれなければなりません。
責任者は、仕事に完璧はないとわかりつつも、完璧を追求する厳しい物差しを
持たなければ、組織にいい加減さを許す考えが生まれてしまいます。
だから、仕事に高い基準を設定しない者を責任ある立場に置いてはならないのです。
会社の文化は、経営者の言葉と振る舞いによってつくられていきます。
トップマネジメントへの人選においては、部下から見て見習うべき見本となる人を
昇格させなければ、組織はおかしくなってしまいます。
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トップマネジメントがチームとして機能するには、いくつかの厳しい条件を満たさなければならない。
チームはシンプルではない。仲のよさで機能させることはできない。好き嫌いは問題ではない。
人間関係に関わりなく、トップマネジメントはチームとして機能しなければならない。
ピーター・ドラッカー
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いかなる組織といえども、その業績はトップマネジメントにかかっている。
ピーター・ドラッカー
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