自己目標管理の最大の利点は、
自らの仕事ぶりをマネジメントできるようになることにある。
自己管理は強い動機づけをもたらす。適当にこなすのではなく、
最善を尽くす願望を起こさせる。
ピーター・ドラッカー『マネジメント』
期待の内容を明らかにする
部下を間違って方向づけようとしている方など1 人もいません。
しかし、上司・部下の立場の違いが、しばしば誤解を生み出します。
ある会社の例ですが、部下がえてきたという目標を見て上司は「この目標は何?」と尋ねました。
その上司は、部下がなぜそんな目標を書いてきたのか分からなかったからです。
すると、部下は次のように答えました。
「3ヵ月くらい前にエレベーターのなかでおっしゃっていたあのことですけど……」と。
スピード感と重要性の認識がずれていたわけです。たいてい上司は、
スピードと品質の両方を要求します。また、主体的にやれと言いながらあれこれ指摘を加えたり、
アイデアを出せと言いながら預かったアイデアを放置したりすることも実は多いのです。
部下は部下で、「好きにやらせてくれればもっと成果は出せたのに……」
と考えている場合があります。
こうしたことが重なると部下は混乱し、挙句の果ては、
「はいはい、言われた通りにすればいいんでしょう」といった感覚に蝕まれ、
仕事への意欲を失ってしまいます。もちろん上司はしたくてそうしているわけではありません。
ゆえに上司には、部下を組織全体の目標に適切に方向づけるだけではなく、
間違った方向づけをしないような努力が求められるのです。
そのために「期待の内容を明らかにしてください。