マネジメントには基本とすべきもの、原則とすべきものがある。
それらの基本と原則は、それぞれの企業、文化、状況に応じて
適用していかなければならない。基本と原則に反するものは、
例外なく破綻する。
ピータードラッカー
アメーバ経営は経営の上に成り立つ手法の一つ
私は、アメーバ経営を信奉する者でもありませんし、
反対する者でもありません。
また、アメーバ経営を評論する意図もありません。
ここでは、ご質問にお答えする形で、
客観的な考察を述べさせていただきます。
アメーバ経営の利点は、数字で組織を管理する人材を育成するのに最適です。
小さな組織単位で数字を管理する点で、社員一人ひとりに当事者意識を
持たせることができます。また、統一された管理で運営できるため、
社内での競争意識を駆り立てることも可能です。
その一方、アメーバ経営は、数字による採算が軸となるため、
社員一人ひとりが自分の組織だけの利益を追求しがちになり、
その結果、会社は全体最適を失います。
つまり、部門間の軋轢をより一層強いものとし、
会社全体を考える人がいなくなってしまいます。
短期的に目に見える効果は得られるものの、長期的に見た場合、
永続的な成長に必要な取り組みを手放してしまい兼ねません。
世の中には優れた理論や手法が数多くあり、
現在もなお、様々なプログラムが開発され続けています。
コンサルティング会社がビジネスを拡大するために、
新しい手法はこれからも増え続けていくことは言うまでもありません。
一方で、何か手法を導入さえすれば、経営が上手くいくかというと、
けっしてそうではありません。どんなスポーツであっても、
どんな武道であっても、基本のうえに「技」があります。
経営も同じです
どんなに素晴らしい建造物であったとしても、
基礎工事なくして建設することはできません。
どんなに卓越した設計手法であったとして、
地面の下にある基礎がなければ、建物は建ちません。
アメーバ経営は、「経営そのもの」ではなく
「経営のうえに成り立つ一つの手法」です。
ゆえに、アメーバ経営も経営基盤があってこそ
はじめて生きるものなのです。
アメーバ経営そのものが目的となった瞬間に、
企業経営は基礎から崩れていってしまいます。
まさに、「基本と原則に反するものは、例外なく破綻する」です。
ぜひ、アメーバ経営も基本と原則のうえに
取り組んでいかれるのがよいかと思われます。