成果のあがる事業であることが繁栄の前提である。
効率はその後の条件である。効率とは仕事の仕方であり、
成果とは仕事の適切さである。
ピーター・ドラッカー
カイゼンを捨ててゼロから考える
2年間で1兆5000億円という、巨額の赤字に苦しむパナソニック。
パナソニックが打ってきた手は「すべて売り上げを伸ばすため」でした。
規模は拡大したものの収益は上がっていません。
不振の理由は売り上げを上げることが
収益拡大につながる従来のモデルが通用しなくなったからです。
いまあるものをカイゼンする。わたしたちは、そのように考える習慣を持っています。
トヨタにカーラジオをおさめていた頃のパナソニック(当時は松下電器産業)は、
トヨタからカーラジオを20%のコストダウンするよう要求されました。
トヨタは、日本のトヨタから世界のトヨタになることを目指し、
松下電器産業も、世界に羽ばたくトヨタのために必死でした。
実はその頃、松下電器産業のカーラジオの利益は3%ほどしかありませんでした。
いまここで、20%のコストダウンに対応したら、17%の赤字になってしまう・・・・。
現実は極めて厳しかったのです。何をどう改良しても5%が限界でした。
松下電器産業内で20名の経営陣が集まり、鳩首会議が行われました。
当時の経営幹部の方々は、「いまあるものをカイゼンしよう」としたわけです。
そこへ松下幸之助さんがやって来て、「それをつくっていなかったとして、
ゼロからどうすかを考えなさい」と言われたそうです。
その結果、「30%のコストダウンに成功」し、
以前より利益率を10%上げる成果が生まれました。
まさに、「成果とは仕事の適切さである」、です。
カイゼンとは、「今あるものに手を加えること」ではな
く「ゼロから考えるということ」をドラッカー先生は教えてくれています。
ぜひ、カイゼンを捨てて、いまの商品・サービスがゼロから考えた場合、
どのような姿になるかー。経営会議で議論してみてください。