CEOの仕事は一人の仕事として組み立てることは不可能である。
それは共同して行動する数人からなるチームの仕事として
組み立てる必要がある。経営書や組織論が何と言おうとも
優れた経営を行っている企業にワンマンはいない。
それらの企業は CEOのチームをもつ。
ピーター・ドラッカー
会社の将来を担う仕事を任せることが一番の近道
取締役にもっと活躍して欲しい。そう願い社長は少なくありません。
ホンダは、社長の本田宗一郎さんが技術を、
藤沢武夫さんがマネジメントを担っていたことは、ご存じの通りです。
当時のホンダの取締役はすべて事業部の責任者を兼任していました。
藤沢武夫さんは取締役の兼任を解き、取締役を専任にしました。
そして取締役の仕事を「取締役として何をすべきか」ついて考えることだけにしました。
取締役専任になった取締役全員から、
「改めて考えてみると取締役としての仕事を何もしていなかった…」
という声が上がったそうです。それもそのはずです。
人間誰でも自分担当する管轄をきちんとせずして
一つ上の管轄に意見することなどできません。
おのずと「事業部としての責任者がメイン」になり
「取締役としての責任はおまけ」になってしまいます。
良い悪いはさておき、それが現実です。こうして、わからないところで会社側が、
取締役として活躍できる人の成長機会を奪ってしまっているかもしれません。
話しは戻りますが、専任となった取締役は、
取締役として担うべき責任を自ら見い出し、
取締役としての仕事を定めていきました。
それまでは、会社全体の責任を担っていた人は、
本田宗一郎さんと藤沢武夫さんだけでした。
取締役は兼任を解かれたことによって、「事業部の責任を担う人」から
「会社の将来を担う人」と進化したのです。
取締役にさらに活躍してもらうために、
経営幹部育成のために、会社の将来を担う仕事を任せることが一番の近道です。