これら4つの現実は変えることができない。それらは変えることの
できない状況である。従って、成果をあげることを学ぶべく
特別の努力を払わないかぎり、成果はあげられないことを
知らなければならない。
ピーター・ドラッカー
成果をあげにくくしている4つの現実
下記は、ITmediaエグゼクティブで執筆した連載の一部を紹介しています。
成果をあげにくくしている4つの現実
今回のテーマは、成果をあげる人の第3の習慣
「アクションプランをつくる」だ。
私たち知識労働者は、成果をあげるために仕事をしている。
しかし、極めて成果をあげにくい現実の中で仕事をしている。
その現実は次の通り4つある。
1.自分の時間が他者にとられてしまう
自分の時間は常に誰かに奪われる。
もちろん相手はこちらの時間を奪おうと思っていない。
大事なメールを打っている時に上司から呼ばれれば、
その仕事を中断して、上司の所に行かなければならない。
重要なことを考えている時に部下から助言を求められれば、
手を止めて部下の話に耳を傾けなければならない。
必要な会議もあれば無駄な会議もたくさんある。
意味のある会議もあれば意味のない会議も多くある。
自分が出席する対象であれば、無駄な会議も、意味のない会議も
出席しなければならない。たとえ心ここにあらずとも、
体は会議の場になければならない。
成果を生む仕事に費やす時間はどこにあるのか、
と言いたくなるほど、時間を無駄にされる圧力は常にある。
これは多くのビジネスパーソンを
悩ます、成果をあげにくくしている現実である。
2.日常業務に取り囲まれている
成果をあげるには現状を変えるための行動が必要だ。
しかし、仕事は日常のルーティンに固められている。
一般社員は当然のことながら、管理職者であっても、
自分の仕事の中身は勝手に変えられない。
成果を生む仕事ができる工夫はほんのわずかしかない。
日常の仕事に身を任せ、日頃の業務に埋没したままであれば、
成果を捨てることになる。
経営者は、会社の方向性やビジョンを明確に
打ち出さなければならない。ところが、その経営者が
日々なれた仕事に引っ張られている
管理職は自分のノルマをクリアする中で、
部下への意思伝達で精いっぱいだ。部下は上司に自分の仕事を
報告することそのものが仕事になっている。
成果をあげるための仕事に使える時間はわずかしかない。
経営者も、管理職も、一般社員も、みんながみんな、
成果をあげにくい現実の中にいる。
3.組織で働いている
私たちは「苦手なことは頑張ろう」と義務教育で教えられてきた。
社会に出たらそうではない。「強みを生かして成果をあげよう」のはずだ。
しかし、義務教育で教えられた「苦手なことは頑張ろう」という考えが、
頭の中の主(ぬし)となって動かない。できることより
できないことに焦点があたる。
成果をあげることより自分を修正することを強いられる。
自他ともに強みを生かしにくい環境にある。自分の強みを生かせず、
他者の強みを生かせなければ成果は生まれない。まさにそれは、
成果をあげにくくしている現実である。
4.事なかれ主義に引きずり込まれる
経営者であろうが、管理職であろうが、一般社員であろうが、
部門間の摩擦や人間関係の問題やうわさに翻弄される。
外部で起こっていることより、内部の問題に注意が向けられる。
組織が大きくなればなるほど、何か一つ行動を起こすだけで
面倒な手続きが要る。何か一つ合意を得ようとすれば根回しが要る。
トップ以外の人には全て上司がいる。「上司にどう対応するか」
で悩まない人はいない。上司の同意が得られず仕事が進まないこともある。
成果とまったく無関係の仕事や気遣いにエネルギーを
消耗させられる。時には他部門の圧力や同僚の嫉妬の力が働き、
立ち回りにくくなることさえある。そのような組織の文化が、
成果をあげようとする人を事なかれ主義に引きずり込んでいく。
そして、問題を起こさないこと、円満を維持することこそが
成果であるかのような錯覚を起こさせる。勇猛果敢に
成果をあげることを忘れさせるような現実である。
以上が、「成果をあげにくくしている4つの現実」だ。
これら4つの現実は変えられるのだろうか。
ドラッカーはこう言っている。
続きはITmedia エグゼクティブへ
ドラッカーが教える成果をあげる人の8つの習慣
「第1の習慣 なされるべきことを考える」を読む
「第2の習慣 組織のことを考える」を読む
「第3の習慣 アクションプランをつくる」を読む(このページ)
「第4の習慣 意思決定を行う」を読む
「第5の習慣 コミュニケーションを行う」を読む
「第6の習慣 機会に焦点を合わせる」を読む
「第7の習慣 会議の生産性をあげる」を読む
「第8の習慣 私はではなくわれわれを考える」を読む