教育者だったドラッカー
ピーター・ドラッカー。ビジネスの世界に身を置く人なら、
その名を知らない人はいないでしょう。
ドラッカーは、世界からマネジメントの父と称され、企業だけではなく、
政府、 公共、非営利組織、医療機関、あるいは学校などの組織について、
様々な研究を重ね、現場の人々にアドバイスをして、各組織が活動を通して、
成果をあげることを助けてきました。
われわれは何をすべきか
「妥協をしない親が協調できない」(59歳男性)、
「やる気のあるベテランさんたちと若い主婦との間で、板挟みになった」(53歳女性)、
「兄弟がいる人はしなくていい的な流れに怒りを感じた」(45歳女性)、
「参加者が少なく無関心の人が多くモチベーション向上に苦労した」(男性68歳)。
これは、マイナビニュース読者に、PTAに参加した保護者からの声です。
※調査期間2019年10月11~12日
保護者の、少しでも今より良くしていきたい
という献身的な思いが伝わってきます。
私たちの社会は、このように真剣に物事に向かい合い、
手を取り合って物事を良い方向に進めようとする人たちによって
支えられていることをあらためて痛感します。
また、保護者の方々に感謝の気持ちをおくると同時に、
教職員の方々に敬意と念をおくりたいと思います。
保護者の方々、また、教職員の方々と同じ想いに立って、
概念論にとどまらず、具体的に「何をどうすべきか」
ということについて考え、お伝えさせていただきます。
PTAの使命は何か 日本におけるPTAとは、
ご存じのとおり、各学校で組織された、
保護者と職員による社会教育関係団体のことです。
また、任意加入の団体であり、結成や加入を義務付ける法的根拠はなく、
いわゆる生徒のためのボランティア活動です。
人が集まるということは、そこには必ず何らかの
共通目的があります。組織とは人の集まりです。
したがいまして、共通目的を見失ってしまえば、
人がまとまることなく、人と人が力を合わせることにも至りません。
![ドラッカー,山下淳一郎140.jpg](https://topmanagement.co.jp/growing/upload/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%2C%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E6%B7%B3%E4%B8%80%E9%83%8E140.jpg)
お互いに手を取り合うのではなく、
お互いが向かい合てしまえば、片方は「言いたいことを言う」ことなり、
もう片方は「言われるがまま」となるという関係になってしまいます。
本来、協力関係にあるはずのPTAのようなコミュニティは、
「敵対関係」にすらなってしまう可能性を排除できません。
PTAとは、先程お伝えしたように、
生徒のために組織された保護者と教職員による集団です。
その一方で、保護者は保護者としてのものの見方があり、
保護者は保護者としての理解があります。それぞれのものの見方、
それぞれの考えがあって当然です。 教職員は教職員としてのものの見方があり、
教職員は教職員としての理解があります。
しかし、お互いが、それをぶつけ合ってしまえば、
PTAという組織は、かえって大勢の人の
不満を募るだけの場になってしまいます。
それでは、本来の目的を果たせません。
生徒のために力を合わせて物事を良い方向に進めたいー。
誰もが、そう願っているはずです。
生徒のために、保護者と職員が手を取り合って
活動を進めていくためには、どうすればいいのでしょうか。
教育者のひとりであり、保護者のひとりでもあった
ドラッカーは言っています。
あらゆる組織において、 共通のものの見方、理解、方向づけ、
努力を実現するには、「われわれの事業は何か」を定義することが
不可欠である。
ピーター・ドラッカー
![ドラッカー,山下淳一郎140.jpg](https://topmanagement.co.jp/growing/upload/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%2C%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E6%B7%B3%E4%B8%80%E9%83%8E140.jpg)
ここでいう、「あらゆる組織において」とは、学校と言う組織も、
もちろんPTAも含まれます。「あらゆる組織」だからです。
「事業」という言葉を聞くと、つい企業をイメージしてしまいがちですが、
「事業」とは「お役にたてる何か」を意味するものであって、
企業だけに使われる言葉ではありません。
また、「われわれ」という表現に注目したいと思います。
PTAに置き換えるならば、「われわれ」とは「保護者と教職員のこと」です。
「われわれの事業は何かを定義することが不可欠である」とは、
「共通目的を明らかにしなければならない」ということです。
さきほど紹介したドラッカーの言葉を要約すると、
"保護者と教職員は、保護者と教職員の共通のものの見方を見出し、
保護者と教職員による共通の理解をつくり出し、
保護者と教職員による共通の方向づけを決め、
保護者と教職員による努力を実現するには、
共通目的をはっきりさせなければならない。" ということです。
![ドラッカー,山下淳一郎140.jpg](https://topmanagement.co.jp/growing/upload/%E3%83%89%E3%83%A9%E3%83%83%E3%82%AB%E3%83%BC%2C%E5%B1%B1%E4%B8%8B%E6%B7%B3%E4%B8%80%E9%83%8E140.jpg)
保護者と教職員は、けっして、向かい合うのではなく、
保護者と教職員は、ともに同じ方向を向かなければならないのです。
それが、PTAという組織が機能するスタート地点ではないでしょうか。
詳しくは、こちらでお読みになれます
ドラッカー5つの質問 山下 淳一郎
成功を収めている企業は、「われわれの事業は何か」を問い、
その問いに対する答えを考え、明確にすることによって
成功がもたらされている。
ピーター・ドラッカー
ドラッカーをさらに知りたい社長様へ
基本と原則に反する者は例外なく破綻する。
ピーター・ドラッカー
今以上に事業を伸ばしていくためには基本と原則は不可欠です。
さらなる発展のために、ドラッカーを学びましょう。