
組織において最も重要な決定は、人事決定である。人の強みにマッチする仕事をさせなければ能力は発揮されない。事業やサービスなどについて賢明な決定を下しても、人事決定を正しく行わなければ成果は上がらない。
ピーター・ドラッカー『マネジメント』
人事決定を高い確率で成功させる方法はある
今日は、事業拡大に向けて採用に取り組んでいる社長さんと懇談でした。就職難と言う言葉をよく聞く一方、いま人材の不足は多くの会社の課題となっています。人は仕事をさせてみなければわからない面があるのは事実です。ゆえに、採用担当者の責任は、いかにして良い人材を採用するか、という点にあります。
人事の決定を高い確率で成功させる取り組みを行っている組織はたくさんあります。人事決定を高い確率で成功させる方法とは、人事の決定5つのステップと5つのルールです。人事を、仕事を適切に行なうこと以上に、組織成果を急速にあげる分野はないと言ってよいでしょう。
1941年、アメリカが第二次世界大戦に参戦したとき、陸軍の上級士官は全員退役年齢を過ぎており多くの人は指揮官として適任ではありませんでした。ところが、4年後に終戦を迎えたときには約700人もの優秀な指揮官を持つに至りました。短期間にこれほどの成果をあげることができたのは、5つのステップに従ったからです。ドラッカー教授は、米国の陸軍参謀長のジョージ・マーシャル将軍が行った事例を通して、人事5つのステップを教えてくれています。まずは、その5つのステップに基づいて、人事の採用や異動を行ってみてください。
人事決定5つのステップ
- ステップ1:仕事の中身を詳細に検討する。
- ステップ2:常に複数の候補者を検討する。
- ステップ3:候補者の強みを理解する。
- ステップ4:他者の客観的な意見を聞く。
- ステップ5:その人に仕事の内容を理解させる。